易経 · 六十四卦

周易・易経・第37卦 家人卦――風火家人、上に巽・下に離

家人――女性が正しさを守るのがよい。

彖伝にいう。家人では、女は内に正しく位置し、男は外に正しく位置する。男女がそれぞれ正しいことは、天地の大義である。家人には厳しい君主がいる。それは父母をいう。父は父らしく、子は子らしく、兄は兄らしく、弟は弟らしく、夫は夫らしく、妻は妻らしくあれば、家の道は正しくなる。家を正せば、天下も定まる。

象伝にいう。火から風が生じるのが家人である。君子はこれを見て、言葉には内容を持たせ、行いには恒常性を持たせる。

易経 第 37 卦の本卦・互卦・錯卦・綜卦の図

易経 第 37 卦 原文と概説

周易第三十七卦の詳しい解説
家人卦の原文
家人。女性が正しさを守るのがよい。
象伝にいう。火から風が生じるのが家人である。君子は言葉に内容を持たせ、行いに恒常性を持たせる。
現代語による説明
家人卦――女性に関することを占えば吉である。
象辞はいう。外卦は巽で風、内卦は離で火である。内に火があり外に風があって、風は火勢を助け、火は風の威力を助ける。互いに支え合うこの姿が家人の卦象である。君子はこの卦象を見て、言葉には内容がなければ空疎になること、徳行は長く持続してこそ充実することを悟る。
『断易天機』による解説
家人卦は上が巽、下が離で、巽宮の二世卦である。家庭の和睦と調和を表し、多くは吉を主とする。
北宋の易学者・邵雍の解釈
心を内に向ければ、家運は盛んになる。厳正で恒心を持ち、心を動かしてはならない。
この卦を得た人は、人と協力して事を行えば利益がある。また喜び事の兆しも多い。家庭が和睦していれば、心を一つにして事業を発展させられる。
台湾の国学大家・傅佩栄の解釈
時運――盛運が目前にある。言動に注意する。
財運――商品を蓄えておけば、後に高値になる。
家宅――火災に注意する。親族同士の縁組。
身体――痰が多く、喘息があり、根治しにくい。
伝統的な卦の解釈
この卦は異卦で、下に離、上に巽が重なる。離は火、巽は風である。火が熱気を上昇させて風となる。すべての物事は内を根本とし、そこから外へ広がるべきである。内に生じ、外に形を成す。まず家を治めてから天下を治めることを表し、家道が正しければ天下は安楽になる。
大象――風が火を吹き起こし、その勢いを助ける象。家族が心を合わせて事業を発展させることを表す。
運勢――平安で大吉。他人と協力すれば成りやすく、子どもの誕生や婚姻などの祝い事の兆しもある。
事業――成功するかどうかは家庭の状態にかかっている。厳格に家を治め、「後庭」に火がつくような思わぬ事故を防ぐことが、事業成功の前提である。夫婦が和睦し協力すれば、必ず貧困を脱して豊かになれる。事業は内から外へ、順序を踏み、粘り強く進めれば、やがて必ず成果を得る。
商売――家を治める方法を商業活動に応用する。会社員には厳しさと寛容さを併用し、厳を主とするのがよい。指揮を集中し、責任者を一人に定め、皆で協力して日々積み重ねる。
名声を求める――勤勉な努力と清貧を楽しむ姿勢を主とし、さらに家庭の支えを得ること。家運が盛んになるにつれ、個人の事業も成功しやすくなる。
婚愛――和睦した家庭がすべての基礎であり、妻は家道の根本である。妻を選ぶ際は慎重にし、和楽によって家を栄えさせる。
決断――良い家庭と妻の支えによって順調に成功するが、この優位を必ず保たなければならない。そうでなければ、盛から衰へ一瞬で転じる。特に家庭の変事を防ぐべきである。家を保つには謙虚で和やかに人に接し、勤勉と倹約、蓄えによって富を築く。親族は互いに仲良く友好的に接する。

第三十七卦の哲学的意味

家人卦の卦象――風火家人の象徴的意味
家人卦は異卦が重なり、下卦が離、上卦が巽である。離は火、巽は風。火が熱気を上昇させ、風となる。すべての物事は内を根本とし、そこから外へ広がるべきである。内に生じ、外に形を成す。
まず家を治めてから天下を治めることを表す。家道が正しければ、天下は安楽になる。
別の角度から見ると、家人卦は巽と離から成る。離は火で、火は料理に使える。巽は風で、どこにでも行き渡る。離が下で巽が上とは、人々が火で食事を作り、家族全員が食事を終えると、風のように各地で活動し、それぞれの仕事をすることを意味する。そこでこの卦を家人と名づける。
家人卦は明夷卦の後に位置し、『序卦伝』は次のように述べる。「外で傷ついた者は必ず家に帰る。ゆえにこれを受けるに家人をもってする」。明夷卦は、政治に携わったり外で事を行ったりして傷ついた場合を説く。今は家庭に戻るべきである。
安定を求める。
象伝はこの卦をこう説明する。火から風が生じるのが家人であり、君子は言葉に内容を持たせ、行いに恒常性を持たせる。家人卦は離(火)が下、巽(風)が上で、火から風が生じる姿である。外の風が自らの火から生じるように、家庭の影響と働きも内部から生じることを象徴する。君子は自分の一言一行に特に注意し、話には根拠と内容を持たせ、行動には基準と規則を備え、朝三暮四のように態度を変えたり、途中で投げ出したりしてはならない。
家人卦が表す主旨は、誠実さと威厳をもって事業を治めることであり、下下卦に属する。象伝はこの卦をこう断じる。鏡の中に一輪の花が咲き、見た目はとても美しいが、手に取ることはできない。鏡花に恋い焦がれるのはやめなさい。この卦に出会えば、思いがけない結果になることがある。

易経 第 37 卦 爻ごとの詳解

周易第三十七卦の初爻、初九の詳しい解説
初九の爻辞
初九――家庭に備えを設ければ、悔いは消える。
象伝にいう。家庭に備えを設けるとは、志がまだ変わっていないことである。
現代語による説明
初九――家庭に思わぬ事故が起きないよう防げば、後悔はない。
象辞はいう。家庭に思わぬ事故が起きないよう防ぐとは、変事が起こる前から警戒することである。
北宋の易学者・邵雍の解釈
平――この爻を得た人は、計画が成就する。未婚者は結婚するが、高齢者には長寿に不利である。閑職の官吏は実権のある職に昇進し、在職者は権力を失うことがある。
台湾の国学大家・傅佩栄の解釈
時運――幸運が始まる。自分を省みて律する。
財運――商売を始めたばかりなら、商業規則を厳守する。
家宅――規則と秩序がある。潔白な家庭。
身体。病気があれば治療せよ。先延ばしにすると治りにくい。

初九の変卦
"周易第37卦的其中之一变卦卦的卦图

初九が変じると、周易の第53卦、風山漸となる。この卦は異なる卦、すなわち下に艮、上に巽が重なったもの。艮は山、巽は木である。山上に木があり、次第に成長し、山もそれに伴って高くなる。これは漸進の過程なので「漸」と称する。漸とは進むことであり、急がず少しずつ前進することをいう。

初九爻の哲学的意味

家人卦の第一爻、爻辞。初九――家庭に備えを設ければ、悔いは消える。爻辞の解説
閑とは、防備や警戒を指す。有は「於」、すなわち「〜に」と解することができる。
この爻辞の意味は、家庭を治めて思いがけない災いを防げば、過失は生じないということである。
卦の象から見ると、初九は陽爻が剛位にあり、家人卦の始めでもあるため、家庭を築き始めた段階を表す。この時は規則を定めるのがよい。家族の心はまだ外界の影響を受けていないので、悪い習慣を身につけてから改めるのは難しい。
象伝はこの爻をこう解釈する。「家庭に備えを設ける」とは、志がまだ変わっていないことである。つまり、家庭を治めて思わぬ災いを防ぐには、最初の良い出発が極めて重要だということだ。問題が起きてから対策を考えるのでは、効果は大きく落ちる。
この爻を得た人は、自分を律するとともに、家の女性や子どもにも節度を持たせるべきである。最初から正しい道徳規範を立て、家族に人の是非を言い立てたり、他人の陰口を言ったりしないよう教える。暇な時には家を治める道や生活に必要な技能を学ぶ。このような家庭では、後悔する事態は起こらない。
初九――家庭に備えを設ければ、悔いは消える。
象伝にいう。家庭に備えを設けるとは、志がまだ変わっていないことである。
経文の意味は、家の中で備えをしておけば、後悔することは起こらないということである。象辞の意味は、家の中で備えをするのは、家庭を重んじる考えが変わっていないことを示すということである。
古代の家は粗末であっても、どれも中庭を備えていた。庭の正門は二枚の木柵のようで、門を閉めた後に一本の横木を差し込めば、外から人が入れなくなる。この横木を「閑」と呼んだ。横木は外敵の侵入を防ぐだけでなく、武器としても使えた。門を開けて来訪者に悪意があると分かったとき、この横木で身を守れたのである。したがって一家にとって、普段から横木で門をしっかり差しておくことを知っていれば、後悔する事態は起こらない。
周易第三十七卦の第二爻、九二の詳しい解説
六二の爻辞
六二――外の事を思いどおりに進めようとせず、家の食事を整える。正しさを守れば吉である。
象伝にいう。六二が吉なのは、柔順で謙虚だからである。
現代語による説明
六二――女性が家で家事を切り盛りし、食事を整えて過ちがない。吉の兆しである。
象辞はいう。六二の爻辞が吉とされるのは、陰爻である六二が陽爻の九三の下にあり、女性が男性に柔順で謙虚に従うようだからである。
北宋の易学者・邵雍の解釈
吉――この爻を得た人は、努力して家庭を築き、喜び事が多い。官職にある人は栄華と富貴を得る。
台湾の国学大家・傅佩栄の解釈
時運――人の力を借りて事を成す。なお思いどおりになる。
財運――穀物を運んで売買すれば、利益を得られる。
家宅――女性が家を切り盛りする。
身体――食欲はまだよく、問題はない。

六二の変卦
"周易第37卦的其中之一变卦卦的卦图

六二が変じると、周易の第9卦、風天小畜となる。この卦は異なる卦、すなわち下に乾、上に巽が重なったもの。乾は天、巽は風である。風雨が順調で穀物が育つことを表すため、小畜と名づけられる。力には限りがあり、一定の段階まで発展するのを待って初めて大きな成果を上げられる。

九二爻の哲学的意味

家人卦の第二爻、爻辞。六二――外の事を思いどおりに進めようとせず、家の食事を整える。正しさを守れば吉である。爻辞の解説
遂とは、願いがかなうこと。ここでは思いのままにすることを指す。中とは、家の中。馈とは、料理や食事に関する雑務である。
この爻辞の意味は、外の事業で名声や功績を思いどおりに追い求めるのではなく、家の食事や日常生活を心を込めて整えるべきであり、そうすれば必ず吉になるということである。
卦の象から見ると、六二は陰爻が柔位にあり、陽剛の力が足りず、才能や知恵も柔弱なので、社会の仕事に携われば思いどおりになりにくい。六二は下卦離の中央にあり、離は火を表す。また、二爻・三爻・四爻から成る互卦の坎の中にもあり、坎は水を表す。両方を合わせて見ると、水が火の上にある、料理をし、湯を沸かす象となる。さらに六二には柔順で従う徳があるので、結果は吉となる。
象伝はこの爻をこう解釈する。六二の吉は、柔順で謙虚だからである。六二が吉意を得られるのは、中央の位にあって常道にかなっており、温和で従順だからだと示している。
この爻を得た人は、外で事業に励んでも成果がなく、あるいは妨げに遭っているなら、家で料理をし、親族や友人をもてなしたり、贈り物を用意して贈ったりするとよい。そうすれば吉を得る。
六二――外の事を思いどおりに進めようとせず、家の食事を整える。正しさを守れば吉である。
象伝にいう。六二が吉なのは、柔順で謙虚だからである。
経文の意味は、独断で事を進めず、昼になって食事を始め、正道を守れば吉だということである。
象辞の意味は、六二が吉である理由は、
六二は九五と応じ、家庭における夫婦の和睦のようである。六二は内卦の中央にあり、位も正しく、家の中で中正の道を守る妻を表す。古代の考えでは、妻は家の主人ではなく、現在の言葉でいえば世帯主ではないため、勝手に決めず、事があれば夫に相談しなければならない。妻は家の内をつかさどり、主な務めは家族の食事を作ること。毎日昼に家族へおいしい食事を用意し、夫の命に従い、正道を守れば吉となる。この吉は六二自身の吉であると同時に、家族全体の吉でもある。もちろん、これは古代封建時代の思想である。現在は男女平等で、多くの男性が次第に六二爻の役割を担っているので、この考えは現代の家庭にはあまり適切ではない。時代が変わったのである。
周易第三十七卦の第三爻、九三の詳しい解説
九三の爻辞
九三――家人に厳しく接すれば、後悔や危うさはあるが吉。妻子が気ままに笑い遊べば、最後には恥となる。
象伝にいう。家人に厳しく接するなら、根本を失ってはいない。妻子が気ままに笑い遊ぶなら、家の節度を失っている。
現代語による説明
九三――貧しい家では、皆が飢えをしのごうと声を上げる。これは苦しいことだが、勤勉に働けば貧困を脱して豊かになれる。一方、富貴な家で驕奢淫逸にふけり、妻子が笑い遊ぶだけなら、最後には衰退する。
象辞はいう。貧しい家でも勤勉に働けば、正しい家風を失ってはいない。富貴な家がただ笑い遊びにふければ、勤勉倹約の道を失う。
北宋の易学者・邵雍の解釈
凶――この爻を得た人は、憂いと喜びが入り混じる。享楽に溺れないよう注意する。官職にある人は厳格で、寛恕の恩が少ない。
台湾の国学大家・傅佩栄の解釈
時運――苦労すれば成就する。安逸にふければ廃れる。
財運――内外が整えば、なお自分を守ることができる。
家宅――家の規律が厳しい。二つのตระกูล結ばれる。
身体――冷やす薬で病苦が軽くなる。

九三の変卦
"周易第37卦的其中之一变卦卦的卦图

九三が変じると、周易の第42卦、風雷益となる。この卦は異なる卦、すなわち下に震、上に巽が重なったもの。巽は風、震は雷である。風雷が激しく動き、その勢いはますます強くなり、雷はさらに響き、風と雷が互いに助け合って力を増す。この卦は損卦と反対である。上を減らして下を益するのが益卦であり、損卦は下を減らして上を益する。二卦は損益の原理を説いている。

九三爻の哲学的な意味

家人卦の第三爻、爻辞。九三――家人に厳しく接すれば、後悔や危うさはあるが吉。妻子が気ままに笑い遊べば、最後には恥となる。爻辞の解説
ディーディーとは、怒って叱責する声。シーシーとは、放縦に笑う声。
この爻辞の意味は、家を治めるのが厳しすぎると、家族を過度に叱ったことをしばしば後悔するが、結局は家道を失っていないので、長い目で見れば吉となるということである。反対に、あまりに甘やかして妻子が思いのまま笑い騒ぐなら、最後の結果は決してよくない。
家人卦の第三爻、爻辞。九三――家人に厳しく接すれば、後悔や危うさはあるが吉。妻子が気ままに笑い遊べば、最後には恥となる。人生への示唆
卦の象から見ると、九三は陽爻が剛位にあり、家庭の父親を表す。父親は家庭の規則を守り、しつけの責任を負うべきである。家族が間違ったことをすれば、厳しく叱ってよい。「厳しさは愛、甘さは害」と知るべきである。
象伝はこの爻をこう解釈する。「家人に厳しく接する」とは、根本を失っていないことである。「妻子が気ままに笑い遊ぶ」とは、家の節度を失うことである。家を治めるのが厳しすぎるのは、治家の原則にかなっており、行き過ぎはあっても根本を失ってはいない。しかし妻子を思いのままにさせ、最後の結果が決してよくないのは、家を治める原則と規則に背くからである。
この爻を得た人は、感情を放任してはならない。愚かな行動や過度の遊興を厳しく制限しなければ、後悔する事態が起こる。
九三――家人を厳しく叱責する。家を厳しく治めれば吉。女性や子どもが笑い騒げば、最後には憂いと悔いが生じる。
象伝にいう。家人に厳しく接するなら、根本を失ってはいない。妻子が気ままに笑い遊ぶなら、家の節度を失っている。
経文の意味は、家人を厳しく叱責し、家を厳しく治めれば吉だということ。女性や子どもが笑い騒げば、最後には憂いと悔いが生じる。
象辞の意味は、家人を叱責するのは家法を失っていないこと、妻子が笑い騒ぐのは家庭の節制を失っていることだということである。
九三は下卦離の最上爻である。下卦は内側と家庭を主るので、九三はここでは家長に相当する。家長はどうすべきか。家長は道徳と家法によって家族一人ひとりを律し、厳しくあらねばならない。だから爻辞は「家人を厳しく叱責する。家を厳しく治めれば吉」と述べる。
周易第三十七卦の第四爻、九四の詳しい解説
六四の爻辞
六四――豊かな家庭。大吉である。
象伝にいう。家庭を豊かにし大いに吉となるのは、位に従っているからである。
現代語による説明
六四――幸福で豊かな家庭。大吉である。
「象伝」はいう。幸福な家庭は大いなる吉祥をもたらす。六四の陰爻が九五の陽爻の下にあり、家族が和やかに暮らし、それぞれの務めを守る姿に似ているからである。
北宋の易学者・邵雍の解釈
吉。これを得た者は、時運がまことによく、貴人に引き立てられ、身寄りのない者も親族に会える。官職に就く者は出世の道が順調で、昇進も望める。
台湾の国学大家・傅佩栄の解釈
時運。財をなし家を守る、まさに幸運の時である。
財運。市場の利益が三倍にもなり、その豊かさは言うまでもない。
家庭。富豪の家。
身体。太りすぎているので、減量すれば治る。

六四の変卦
"周易第37卦的其中之一变卦卦的卦图

六四が変じると、周易の第13卦「天火同人」となる。この卦は異なる卦が重なったもので、下が離、上が乾である。乾は天であり君主、離は火であり臣民・庶民を表す。天が上、火が下にあり、火性は上昇して天と同じになる。上下が和して同じ舟で助け合い、人間関係は調和し、天下が一つになる。

九四爻の哲学的意味

家人卦の第四爻。爻辞は、六四。家を富ませる。大いなる吉。爻辞の解説。
この爻辞の意味は、家を豊かにすれば大いなる吉祥を得る、ということである。
卦象から見ると、六四は陰爻が柔位にあり、すでに上卦に入っている。その身分は賢い妻にとどまらず、よい母でもある。六四は上卦の初爻で、九五の君爻とも正しく応じている。巽は従順を意味し、柔和で徳の正しい母が、中心を得て剛健で厳格な父を助け、家の経済と財務を心を込めて治める姿を表す。家が豊かであるのは、主婦が家計を上手に管理する結果である。また、子孫が栄えることも示すが、これもよい母が育てた結果である。
「象伝」はこの爻を次のように説明する。「家を富ませることは大いなる吉。位にあって従順である」。ここで示されるのは、六四が「家を豊かにし、大いなる吉祥をもたらす」ことができるのは、その柔順な性質によるということである。
六四。家を富ませる。大いなる吉。「象伝」はいう。家を富ませることは大いなる吉。位にあって従順である。
経文の意味は、家庭が豊かで、大いなる吉祥である、ということである。
象伝の意味は、家庭が豊かで大いに吉祥なのは、六四が柔順で正しい位置を得ているからだ、ということである。
六四は上卦巽の最下爻である。巽には「市場の利益が三倍になる」という意味が含まれるため、六四は家庭を非常に豊かにする。現代の言葉でいえば、六四には富を築く力があるということだ。家庭が幸福であるには物質的条件も欠かせず、豊かさは家族の幸福の基盤である。だから爻辞は「大いなる吉」と述べている。
周易第三十七卦・九五の詳しい解説
九五の爻辞
九五。王が家に至る。憂うるなかれ。吉。
「象伝」はいう。王が家に至るとは、互いに愛し合うことである。
現代語による説明
九五。君王が宗廟に至って祖先を祭る。心配するには及ばない。祖先の加護が家族に及び、何事も吉である。
「象伝」はいう。王が臣民の家に至るとは、君臣が互いに愛し守ることを示す。
北宋の易学者・邵雍の解釈
吉。これを得た人は企てが利益につながり、貴人の引き立てを受ける。官職にある人は高い地位と名声を得、進取して名を上げる望みがある。
台湾の国学大家・傅佩栄の解釈
時運。人心が通じ合えば、自然に吉祥となる。
財運。公正に商売を営めば、利益を守ることができる。
家庭。立派な大邸宅。豪門に嫁ぐ。
身体。肝の火が強すぎる。心気を調え養うこと。

九五の変卦
"周易第37卦的其中之一变卦卦的卦图

九五が変じると、周易の第22卦「山火賁」となる。この卦は異なる卦が重なり、下が離、上が艮である。離は火・明るさ、艮は山・止まることを表す。文明的でありながら節度がある。賁卦は実質と文飾の関係を論じ、実質を主とし、文飾によって調整する。賁とは文を施し、飾ることである。

九五爻の哲学的意味

家人卦の第五爻。爻辞は、九五。王が家に至る。憂うるなかれ。吉。爻辞の解説。
王は君王。假は「格」「至る」の意。有は「於」に通じ、「…において」の意。
この爻辞の意味は、君王が家に至ったので、心配する必要はなく吉祥である、ということである。
卦象から見ると、九五は陽爻が陽位にあり、君主の位を占める。ここでは一家の主である父親を指す。父親は家の指導者のように、皆の行動を導き感化し、誰もが利益を得る原則に従って家庭の仕事を分担し、自分の人格の力によって家族から敬愛され、家族一人ひとりが長所を発揮するよう励ますべきである。
「象伝」はこの爻をこう分析する。「王が家に至る」とは、互いに愛し合うことである。ここで示されるのは、一家の主である父親の要は、家族全員が和やかに暮らし、感情を通わせ、互いに親しみ愛するようにすることだということである。
九五。王が家に至る。憂うるなかれ。吉。
「象伝」はいう。王が家に至るとは、互いに愛し合うことである。
経文の意味は、君王が国を治めるのは家を治めるようなものであり、憂うることなく吉祥である、ということである。
象伝の意味は、君王が家を治めるように国を治めるとは、人々を一つの家族のように親しみ愛させることだ、ということである。
上九は君主の位を表す。家人の卦において、君主の家とはどこにあるのだろうか。宮中ではない。君主の家とは国家である。君主が天下の人々を、まるで一つの家族のように互いに親しみ愛するよう導けば、天下の民は固く結束し、国家は安定する。これが諸民族を大統一へ導く思想である。古代の天子は、すべての諸侯国を束ねる同盟の総盟主であったため、天子は大統一の思想を広めなければならなかった。しかもそれは思想として宣伝するだけでなく、婚姻関係によって大統一の枠組みを築いた。たとえば紂王の父は、西周が強大になったのを見て、自分の娘を
自分の同族の妹を周文王の父に嫁がせた。
周易第三十七卦・上九の詳しい解説
上九の爻辞
上九。誠信があり、威厳がある。終わりには吉。
「象伝」はいう。威厳があって吉とは、自分自身に立ち返ることをいう。
現代語による説明
上九。君主が生殺与奪の権を握り、威風堂々として権力を揺るがせず、最後には吉となる。
「象伝」はいう。上九の爻辞が刑罰によって威を立て、最後に吉となるのは、君主が内に自分を省み、外に威望を築けるからである。
北宋の易学者・邵雍の解釈
吉。これを得た人は計画が意のままに進み、女性はさらによい。官職にある人は高い地位と大きな権力を持ち、学ぶ人は進んで名を成す。
台湾の国学大家・傅佩栄の解釈
時運。万事吉だが、幸運はまもなく尽きる。
財運。正しい商道を守れば、利益と名声の両方が得られる。
家庭。一郷の望みとなる家。二つの家が和睦する。
身体。運動して体を鍛える。

上九の変卦
"周易第37卦的其中之一变卦卦的卦图

上九が変じると、周易の第63卦「水火既済」となる。この卦は異なる卦が重なり、下が離、上が坎である。坎は水、離は火。水と火が交わり、水が火の上にあって水勢が火勢を抑え、消火の大功が成し遂げられる。「既」はすでに、「済」は成就を意味する。既済とは、事がすでに成功したが、やがて変化が起こるということである。

上九爻の哲学的意味

家人卦の第六爻。爻辞は、上九。誠信があり、威厳がある。終わりには吉。爻辞の解説。
誠信があるとは、信義を備えること。威厳があるとは、威厳ある姿を示すこと。
この爻辞の意味は、自分が誠実で信頼に値し、威信を築くことができれば、必ず吉祥を得るということである。
卦の象から見ると、九爻は家人卦の最上位に位置し、卦全体の主旨をまとめることができる。家を治めるには、寛大さと厳格さの度合いを適切に保つだけでなく、威厳を備え、信頼を得なければならない。
「象伝」はこの爻をこう分析する。威厳があって吉なのは、自分自身に立ち返ることをいう。尊厳と威信によって吉祥を得られるのは、それが自分を厳しく律することで得られるものであり、他の方法によるものではないからだ。
この爻を得た人へ。あなたが父親なら、自分に厳しく要求し、原則を守り続けてこそ、皆の尊敬を得られる。家庭の親であれ職場の指導者であれ、常に自省し、自分を律し、他人に犯すなと言う過ちを自分も犯さず、他人に実行せよと求めることを自分も実行しなければならない。そうして初めて威信を保てる。
上九。誠信があり、威厳がある。終わりには吉。
「象伝」はいう。威厳があって吉とは、自分自身に立ち返ることをいう。
経文の意味は、誠信と威望があれば、最後には吉祥となるということである。
象伝の意味は、威望による吉祥とは、自分自身に立ち返って自律することをいう、ということである。
上九は家庭で最も高い位置にいる人物であり、国家でいえば太上皇、民間の家庭でいえば家の長老に当たる。このような老人は下の家族から広く尊敬される。したがって上九は期待に背かず、誠信と威望を備えなければならない。現代の言葉でいえば、年を重ねても徳があることだ。中国では昔から老人を尊重してきたが、老人に徳がなければ、本来受けるべき尊敬を失う。