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水沢節、節:亨。苦節は貞にすべからず。
節:亨。苦節は貞にすべからず。
60 水沢節
卦の構成は《兌》が下で《坎》が上であり、兌は沢、《坎》は水です。水が沢に注ぐ際、満ちれば進み、窪み(坎)があれば止まるように、水には自ずから固有の分量があります。沢が水を容れる際、平らであれば受け入れ、満ちれば溢れ出るように、沢にも自ずから制限があり、これこそ『節』の謂いです。この卦は《困》と位置を易(か)えており、沢が水の上にあるのは漏れる沢であり、沢が漏れれば水が無くなるため《困》と言います。水が沢の上にあるのは深い沢であり、沢が深ければ水があるため《節》と言います。これが、この卦を水沢《節》と名付ける理由です。
節[82]:亨。苦節は貞にすべかろず。
▲ 金文の「節」
卦体は上の互卦が《艮》であり、『艮は止まるなり』、下の互卦が《震》であり、『震は行くなり』となります。行くべき時に行き、止まるべき時に止まり、行止(動静)が中を得ることを《節》と言います。行止が中を得るからこそ亨通できるのであり、もし正そうとして行き過ぎ、固執して自己を守るなら、節制もまた苦しいものとなります。節が苦しくなれば、他人に対処する余裕も自分を置く余裕もなくなり、困窮して容れられる所がなくなるため、『貞にすべからず』と言います。
『彖伝』に曰く、節は亨通なり。剛柔分かれて剛中を得たり。苦節は貞とすべからず、その道窮まればなり。説(よろこ)びて険を行い、位に当りて節し、中正にして通ず。天地節して四時成り、節するに制度を以てし、財を傷めず、民を害せず。
『序卦伝』に曰く、「渙とは離るるなり。物以て終に離るべからず、故にこれを受けるに節を以てす。」節とは節制なり。節はその過中を節して、これをして中に節せしむるなり。卦は三陰三陽を以て、陰陽適等なり。《坎》の剛は上にあり、《兌》の柔は下にあり、所謂「剛柔分わる」なり。剛柔分かれて上下乱れざるは、これ中を得るなり。中を得れば則ち亨る、故に「節は亨る」と曰う。節して中を得ざれば、倹にして礼に中(あた)らず、射て標的に当らざるが如く、徒らに自ら苦しむのみ。正と為すべからず、奚ぞ以て亨るを得んや。亨らざれば則ち窮まる。節の咎にあらず、節して中を得ざるの咎なり。『象伝』特に挙げてこれを示し、その偏りを救う所以なり。《坎》は険、《兌》は悦、説を以て《坎》を節すれば、人をして悦愉ありて迫感無からしむ、これ「説びて険を行う」なり。五は尊位に居り、《節》の主と為す、これ「位に当りて節す」なり。中にして且つ正、位と徳と立ち、群倫を裁制して亨通を得せしむ、これ「中正にして通ず」なり。卦体本より地天《泰》より来る。《節》の道も亦た天地より始り、日月代わる代わる明らかなる、四時交々行われ、寒暑往来して歳功以て成る、これ天地の節なり。故に「天地節して四時成る」と曰う。天地の節に法り、以て制度と為せば、則ちこれを以て財を節して財傷まず、これを以て民を節して民害されず。庶幾くは天下皆我が節に就くを楽しみ、乃ちこれを阻み無く行うこと能い、これを放ちて皆準ず。その要はただ剛柔の中を得るにあり、夫れ豈に「苦節」の謂ならんや!
この卦を人事になぞらえれば、飲食を節せざれば病に至り、言語を節せざれば羞を貽(のこ)し、財用を節せざれば家を敗り、色欲を節せざれば身を傷む、皆人事の害なり。その弊を矯むる者、これが為に絶食し、これが為に口を緘(と)じ、これが為に財を靳(惜)しみ、これが為に欲を断つは、《節》と雖も節するも、その苦に堪えず、これ《節》の中を得ざるにして、かえってその窮に至るなり。何ぞ能く亨らんや。夫れ人事の亨らざる者は、皆剛柔の中を失うによれるのみ。過剛なる者は侈(おご)り、過柔なる者は吝(惜)しみ、道ここを以て窮まるなり。卦と為すや《坎》上《兑》下、剛柔以て分れ、《兑》の説(よろこ)びを以て《坎》の険を節し、心をしてその説びを得させ、行いてその険を忘れさせ、その位に当りて万事を裁度せば、斯に万事咸(みな)亨らん。中にして且つ正なれば偏頗無きなり。亨にして通ずれば窒礙無きなり。蓋し人の喜怒哀楽は、即ち天の雨露雷霆なり。人の起居食息は、即ち天の昼夜晦明なり。人身に自然の制度あり、天地にも亦た自然の運行あり、所謂「天地節して四時成る」とは、これなり。人事は要するに天道を出でざるのみ。
この卦を国家になぞらえれば、国家の政務万端、一言を以てこれを蔽(おおい)えば、ただ制度を以て節するにあるのみ。制度その中を得れば、則ちその節する所、甘ありて苦無きなり。亨るべく亦た貞(正)にすべきなり。剛柔均しく分れ、道乃ち窮まらざるなり。説(よろこ)びと険と相済(たす)け、位その当を得るなり。これを以て財を理(おさ)めれば財傷まず、これを以て民を使えば民害されず。庶幾くは四海の大きさと万民の衆多において、聖人制度を以てこれを節し、人をして人人その説びを感じ、人人その険を忘れ、亦た人人楽しんでその節に従わしむ、所謂「位に当りて節し、中正にして通ず」、道ここにあり。要するに聖人本より説(よろこ)びを以て険を節し、剛に偏せず、柔に偏せず、ただ天地の《節》を法りて節と為す。天地節して四時成り、聖人節して万民説ぶ、その道一なり。爻についてこれを論ずれば、「位に当る」とは九五を謂うなり、その中に居るを以ての故に「甘節」と曰う。道の窮まるは上六を指すなり、『彖』の「苦節」は上六これに当る。六四は『彖』の「亨」を得たり、故に「安節」と曰う。初九の「出でず」は、慎みて節するなり。九二の失位は、その中を失うなり。六三の「嗟若(さじゃく)」は、咎自ら取るなり。要するに、中を得れば則ち吉、過中なれば則ち凶、『彖伝』の所謂「節は亨る」は、首(はじめ)に「剛柔分かれて剛中を得る」にあるなり。
この卦を通観するに、卦象は下《兌》上《坎》を取り、爻は剛柔均しく分れ、位に当るを吉とす。陽は実、陰は虚、実は塞がり虚は通ず。《節》とは竹の節(ふし)なり、竹の通ずる所を空と謂い、塞がる所を節と謂う。凡そ称する所の廉隅(れんぐ)を立て、経界を分つは、皆節の義なり。故に人に節無きは、猶時(季節)に秩序無きがごとし。夫れ寒暑晴雨、推移更代し、若しその節を失えば、則ち天地閉塞して歳功成らず。人に節無きは、則ち昏迷潰乱して行止皆窮まる。これ咎は節する所を知らざるにあるなり。節するを知らず節せざるも固より凶、過節も亦た凶なり。その節の貞を期し、その節の亨を求むるには、ただ要は剛柔の中を得るにあり。卦体は内説外険、剛柔均しく分れ、九五位に当り、剛中を得、説びて険を節し、中にして能く正なれば、斯にその道往くとして通ぜざるは無きなり。蓋し聖人においては至中なる者を以て《節》と為し、その節や心無(むしん)なり。天地においては循環なる者を以て《節》と為し、その節や形無(むけい)なり。卦においては《坎》《兌》相成る者を以て《節》と為し、その《節》や象あり。聖人下水土に襲(よ)る、故にその象を取りて人に示す。『彖伝』の曰う「苦」、曰う「窮」は、その失を戒むるなり。曰う「亨」、曰う「通」は、その効を著すなり。曰う「中を得」、曰う「位に当る」は、その則(のり)を示すなり。曰う「財を傷めず」、曰う「民を害せず」は、その徳を美(ほ)めるなり。その卦も亦た《泰》より来る、故に《節》において天地交泰の象を見るべきなり。水流れて《坎》止まる、通塞の義あり、是を以て六爻皆通塞を取り、以て吉凶と為す。初は塞がるを知りて塞がる、故に「出でず」して「咎無し」。二は宜しく通ずべきに塞がる、故に「時を失い」て凶と為す。三は塞がらずして「嗟(嘆)く」、咎復た何をか辞せん。四は塞がりて能く「安んず」、『彖』の亨を得たり。五は全卦の主、「中正にして通ず」。六は塞がりて通ぜず、これを「苦節」と謂う。大抵《易》の道は盈(みち)を戒め、節して以て盈を防ぐ、これを防ぐこと過ぐれば、或は遅疑して事を敗り、或は鄙嗇(ひしょく)にして失当す。天時に違い、人情に拂(もと)るは、均しく凶咎を免れ難きのみ。道は剛中を以て吉と為す、これ聖人の時中を貴ぶ所以なり。
『大象』に曰く、沢の上に水あるは、節なり。君子以て数度を制し、徳行を議す。
「沢に水無き」を《困》と曰い、沢に水あるを《節》と曰う、水ありて節せざれば、則ち沢も亦た涸(か)る、是を以て君子象を《節》に取るなり。「数度」とは、権量法度の謂なり。「徳行」とは、道德性命の事なり。《兌》は《坤》より変ず、《坤》は重と為し、寡(少)と為す、「数度」に象る。《坎》は《乾》より変ず、《乾》は道と為し、性と為す、徳行に象る、《坎》は平と為す、裁制のその平を得るを謂うなり。《兌》は口と為す、議論の口より出でるを謂うなり、是を以て君子これが為に「数度を制し、徳行を議す」。
【占い】
○運勢を占う:運途は中正にして、財源は富有なり。ただ宜しく外は出納を節し、内は身心を節すべし。吉。
○軍事を占う:節制の軍、高きに登り険を涉る、守るべく戦うべし。
○商業を占う:沢に水あり、富饒の象なり。法制既にて精しく、議論も亦た確かなり、利益を得ざるは無きなり。
○功名を占う:品行端正にして、律度精詳なり、魚竜の水を得るの象あり。
○婚姻を占う:《坎》の男《兌》の女、水沢相成る、吉。
○家宅を占う:宅は大沢に臨み、家道富有なり、吉。
○疾病を占う:病は宜しく飲食を節し、行動を慎むべし。
○ 妊娠:男児が生まれる。
60 水沢節
卦の構成は《兌》が下で《坎》が上であり、兌は沢、《坎》は水です。水が沢に注ぐ際、満ちれば進み、窪み(坎)があれば止まるように、水には自ずから固有の分量があります。沢が水を容れる際、平らであれば受け入れ、満ちれば溢れ出るように、沢にも自ずから制限があり、これこそ『節』の謂いです。この卦は《困》と位置を易(か)えており、沢が水の上にあるのは漏れる沢であり、沢が漏れれば水が無くなるため《困》と言います。水が沢の上にあるのは深い沢であり、沢が深ければ水があるため《節》と言います。これが、この卦を水沢《節》と名付ける理由です。
節[82]:亨。苦節は貞にすべかろず。
▲ 金文の「節」
卦体は上の互卦が《艮》であり、『艮は止まるなり』、下の互卦が《震》であり、『震は行くなり』となります。行くべき時に行き、止まるべき時に止まり、行止(動静)が中を得ることを《節》と言います。行止が中を得るからこそ亨通できるのであり、もし正そうとして行き過ぎ、固執して自己を守るなら、節制もまた苦しいものとなります。節が苦しくなれば、他人に対処する余裕も自分を置く余裕もなくなり、困窮して容れられる所がなくなるため、『貞にすべからず』と言います。
『彖伝』に曰く、節は亨通なり。剛柔分かれて剛中を得たり。苦節は貞とすべからず、その道窮まればなり。説(よろこ)びて険を行い、位に当りて節し、中正にして通ず。天地節して四時成り、節するに制度を以てし、財を傷めず、民を害せず。
『序卦伝』に曰く、「渙とは離るるなり。物以て終に離るべからず、故にこれを受けるに節を以てす。」節とは節制なり。節はその過中を節して、これをして中に節せしむるなり。卦は三陰三陽を以て、陰陽適等なり。《坎》の剛は上にあり、《兌》の柔は下にあり、所謂「剛柔分わる」なり。剛柔分かれて上下乱れざるは、これ中を得るなり。中を得れば則ち亨る、故に「節は亨る」と曰う。節して中を得ざれば、倹にして礼に中(あた)らず、射て標的に当らざるが如く、徒らに自ら苦しむのみ。正と為すべからず、奚ぞ以て亨るを得んや。亨らざれば則ち窮まる。節の咎にあらず、節して中を得ざるの咎なり。『象伝』特に挙げてこれを示し、その偏りを救う所以なり。《坎》は険、《兌》は悦、説を以て《坎》を節すれば、人をして悦愉ありて迫感無からしむ、これ「説びて険を行う」なり。五は尊位に居り、《節》の主と為す、これ「位に当りて節す」なり。中にして且つ正、位と徳と立ち、群倫を裁制して亨通を得せしむ、これ「中正にして通ず」なり。卦体本より地天《泰》より来る。《節》の道も亦た天地より始り、日月代わる代わる明らかなる、四時交々行われ、寒暑往来して歳功以て成る、これ天地の節なり。故に「天地節して四時成る」と曰う。天地の節に法り、以て制度と為せば、則ちこれを以て財を節して財傷まず、これを以て民を節して民害されず。庶幾くは天下皆我が節に就くを楽しみ、乃ちこれを阻み無く行うこと能い、これを放ちて皆準ず。その要はただ剛柔の中を得るにあり、夫れ豈に「苦節」の謂ならんや!
この卦を人事になぞらえれば、飲食を節せざれば病に至り、言語を節せざれば羞を貽(のこ)し、財用を節せざれば家を敗り、色欲を節せざれば身を傷む、皆人事の害なり。その弊を矯むる者、これが為に絶食し、これが為に口を緘(と)じ、これが為に財を靳(惜)しみ、これが為に欲を断つは、《節》と雖も節するも、その苦に堪えず、これ《節》の中を得ざるにして、かえってその窮に至るなり。何ぞ能く亨らんや。夫れ人事の亨らざる者は、皆剛柔の中を失うによれるのみ。過剛なる者は侈(おご)り、過柔なる者は吝(惜)しみ、道ここを以て窮まるなり。卦と為すや《坎》上《兑》下、剛柔以て分れ、《兑》の説(よろこ)びを以て《坎》の険を節し、心をしてその説びを得させ、行いてその険を忘れさせ、その位に当りて万事を裁度せば、斯に万事咸(みな)亨らん。中にして且つ正なれば偏頗無きなり。亨にして通ずれば窒礙無きなり。蓋し人の喜怒哀楽は、即ち天の雨露雷霆なり。人の起居食息は、即ち天の昼夜晦明なり。人身に自然の制度あり、天地にも亦た自然の運行あり、所謂「天地節して四時成る」とは、これなり。人事は要するに天道を出でざるのみ。
この卦を国家になぞらえれば、国家の政務万端、一言を以てこれを蔽(おおい)えば、ただ制度を以て節するにあるのみ。制度その中を得れば、則ちその節する所、甘ありて苦無きなり。亨るべく亦た貞(正)にすべきなり。剛柔均しく分れ、道乃ち窮まらざるなり。説(よろこ)びと険と相済(たす)け、位その当を得るなり。これを以て財を理(おさ)めれば財傷まず、これを以て民を使えば民害されず。庶幾くは四海の大きさと万民の衆多において、聖人制度を以てこれを節し、人をして人人その説びを感じ、人人その険を忘れ、亦た人人楽しんでその節に従わしむ、所謂「位に当りて節し、中正にして通ず」、道ここにあり。要するに聖人本より説(よろこ)びを以て険を節し、剛に偏せず、柔に偏せず、ただ天地の《節》を法りて節と為す。天地節して四時成り、聖人節して万民説ぶ、その道一なり。爻についてこれを論ずれば、「位に当る」とは九五を謂うなり、その中に居るを以ての故に「甘節」と曰う。道の窮まるは上六を指すなり、『彖』の「苦節」は上六これに当る。六四は『彖』の「亨」を得たり、故に「安節」と曰う。初九の「出でず」は、慎みて節するなり。九二の失位は、その中を失うなり。六三の「嗟若(さじゃく)」は、咎自ら取るなり。要するに、中を得れば則ち吉、過中なれば則ち凶、『彖伝』の所謂「節は亨る」は、首(はじめ)に「剛柔分かれて剛中を得る」にあるなり。
この卦を通観するに、卦象は下《兌》上《坎》を取り、爻は剛柔均しく分れ、位に当るを吉とす。陽は実、陰は虚、実は塞がり虚は通ず。《節》とは竹の節(ふし)なり、竹の通ずる所を空と謂い、塞がる所を節と謂う。凡そ称する所の廉隅(れんぐ)を立て、経界を分つは、皆節の義なり。故に人に節無きは、猶時(季節)に秩序無きがごとし。夫れ寒暑晴雨、推移更代し、若しその節を失えば、則ち天地閉塞して歳功成らず。人に節無きは、則ち昏迷潰乱して行止皆窮まる。これ咎は節する所を知らざるにあるなり。節するを知らず節せざるも固より凶、過節も亦た凶なり。その節の貞を期し、その節の亨を求むるには、ただ要は剛柔の中を得るにあり。卦体は内説外険、剛柔均しく分れ、九五位に当り、剛中を得、説びて険を節し、中にして能く正なれば、斯にその道往くとして通ぜざるは無きなり。蓋し聖人においては至中なる者を以て《節》と為し、その節や心無(むしん)なり。天地においては循環なる者を以て《節》と為し、その節や形無(むけい)なり。卦においては《坎》《兌》相成る者を以て《節》と為し、その《節》や象あり。聖人下水土に襲(よ)る、故にその象を取りて人に示す。『彖伝』の曰う「苦」、曰う「窮」は、その失を戒むるなり。曰う「亨」、曰う「通」は、その効を著すなり。曰う「中を得」、曰う「位に当る」は、その則(のり)を示すなり。曰う「財を傷めず」、曰う「民を害せず」は、その徳を美(ほ)めるなり。その卦も亦た《泰》より来る、故に《節》において天地交泰の象を見るべきなり。水流れて《坎》止まる、通塞の義あり、是を以て六爻皆通塞を取り、以て吉凶と為す。初は塞がるを知りて塞がる、故に「出でず」して「咎無し」。二は宜しく通ずべきに塞がる、故に「時を失い」て凶と為す。三は塞がらずして「嗟(嘆)く」、咎復た何をか辞せん。四は塞がりて能く「安んず」、『彖』の亨を得たり。五は全卦の主、「中正にして通ず」。六は塞がりて通ぜず、これを「苦節」と謂う。大抵《易》の道は盈(みち)を戒め、節して以て盈を防ぐ、これを防ぐこと過ぐれば、或は遅疑して事を敗り、或は鄙嗇(ひしょく)にして失当す。天時に違い、人情に拂(もと)るは、均しく凶咎を免れ難きのみ。道は剛中を以て吉と為す、これ聖人の時中を貴ぶ所以なり。
『大象』に曰く、沢の上に水あるは、節なり。君子以て数度を制し、徳行を議す。
「沢に水無き」を《困》と曰い、沢に水あるを《節》と曰う、水ありて節せざれば、則ち沢も亦た涸(か)る、是を以て君子象を《節》に取るなり。「数度」とは、権量法度の謂なり。「徳行」とは、道德性命の事なり。《兌》は《坤》より変ず、《坤》は重と為し、寡(少)と為す、「数度」に象る。《坎》は《乾》より変ず、《乾》は道と為し、性と為す、徳行に象る、《坎》は平と為す、裁制のその平を得るを謂うなり。《兌》は口と為す、議論の口より出でるを謂うなり、是を以て君子これが為に「数度を制し、徳行を議す」。
【占い】
○運勢を占う:運途は中正にして、財源は富有なり。ただ宜しく外は出納を節し、内は身心を節すべし。吉。
○軍事を占う:節制の軍、高きに登り険を涉る、守るべく戦うべし。
○商業を占う:沢に水あり、富饒の象なり。法制既にて精しく、議論も亦た確かなり、利益を得ざるは無きなり。
○功名を占う:品行端正にして、律度精詳なり、魚竜の水を得るの象あり。
○婚姻を占う:《坎》の男《兌》の女、水沢相成る、吉。
○家宅を占う:宅は大沢に臨み、家道富有なり、吉。
○疾病を占う:病は宜しく飲食を節し、行動を慎むべし。
○ 妊娠:男児が生まれる。
初九:戸庭に出でず、咎無し。
初九:戸庭に出でず、咎無し。
『象伝』に曰く、戸庭に出でざるは、通塞を知ればなり。
初は陽を以て陽に居り、《節》の初と為す。陽は実、陰は虚、初は陽剛に当り、一画《兌》の口を塞ぎ止む、故に「出でず」と為す。上互は《艮》、《艮》は牖(まど)と為し、居と為す、「戸庭」の象あり。《艮》は又た止まりと為す、出でざるの象あり、故に「戸庭に出でず」と曰う。卦は《渙》の後に継ぐ、初六は渙散として甫(はじ)めて集まり、正に宜しく塞ぐべきにして通ずべきにあらざるなり。戸庭の近きと雖も、亦た敢えて出でず、則ち一步一趨、節にあらざるは無し、故に「咎無し」を得たり。初動き体は《坎》となる、坎水は智と為す、智なれば則ち能く時を審(つまびら)かにし勢を度り、通ずべく塞ぐべく、出づべく入るべく、皆節制あり、故に『象伝』は「通塞を知る」を以てこれを釈するなり。
【占い】
○運勢を占う:運途未だ盛んならず、宜しく慎みて戸庭を守るべし、以て咎を免るるを得ん。
○商業を占う:坐賈に宜しく、行商に宜しからず、咎無し。
○功名を占う:目下宜しく門を杜(と)じて静守すべし、四爻に至りて名を成すべし。
○軍事を占う:初は離散の余に当たり、軍民乍(たちま)ち聚(あつ)まる、宜しくその鋭気を養うべし、出でて戦うに宜しからず。
○婚姻を占う:初と四とは相応ず、四は承順の道を得たり、即ち婦道の正なり、故に咎無し。
○疾病を占う:宜しく安居静養すべし、害無し。
○失物を占う:尚お戸庭の内にあり、尋ねてこれを得べし。
○行人を占う:未だ行を起こさず。
○ 妊娠について問う。女児が生まれる。
【例】友人某来たり、家宅を占わんことを請い、筮して《節》の《坎》を得たり。
断に曰く:卦象は《兌》西《坎》北と為し、爻象は外戸内庭と為す。初は《兌》の下に居り、陽剛の一画、戸庭の鎖鑰(さやく)ありて、以て出入を節するが如し、故に「戸庭に出でず」と曰う。深居して禍を避く、故に「咎無し」と曰う。今足下家宅を占い、《節》の初爻を得たり、この宅想うに初次の遷居にして、一切の家事、正に整理を待つ、盈を守り泰を保ち、宜しく節倹の風を守り、門を杜じ事を謝すべし、以て咎無かるべし。
『象伝』に曰く、戸庭に出でざるは、通塞を知ればなり。
初は陽を以て陽に居り、《節》の初と為す。陽は実、陰は虚、初は陽剛に当り、一画《兌》の口を塞ぎ止む、故に「出でず」と為す。上互は《艮》、《艮》は牖(まど)と為し、居と為す、「戸庭」の象あり。《艮》は又た止まりと為す、出でざるの象あり、故に「戸庭に出でず」と曰う。卦は《渙》の後に継ぐ、初六は渙散として甫(はじ)めて集まり、正に宜しく塞ぐべきにして通ずべきにあらざるなり。戸庭の近きと雖も、亦た敢えて出でず、則ち一步一趨、節にあらざるは無し、故に「咎無し」を得たり。初動き体は《坎》となる、坎水は智と為す、智なれば則ち能く時を審(つまびら)かにし勢を度り、通ずべく塞ぐべく、出づべく入るべく、皆節制あり、故に『象伝』は「通塞を知る」を以てこれを釈するなり。
【占い】
○運勢を占う:運途未だ盛んならず、宜しく慎みて戸庭を守るべし、以て咎を免るるを得ん。
○商業を占う:坐賈に宜しく、行商に宜しからず、咎無し。
○功名を占う:目下宜しく門を杜(と)じて静守すべし、四爻に至りて名を成すべし。
○軍事を占う:初は離散の余に当たり、軍民乍(たちま)ち聚(あつ)まる、宜しくその鋭気を養うべし、出でて戦うに宜しからず。
○婚姻を占う:初と四とは相応ず、四は承順の道を得たり、即ち婦道の正なり、故に咎無し。
○疾病を占う:宜しく安居静養すべし、害無し。
○失物を占う:尚お戸庭の内にあり、尋ねてこれを得べし。
○行人を占う:未だ行を起こさず。
○ 妊娠について問う。女児が生まれる。
【例】友人某来たり、家宅を占わんことを請い、筮して《節》の《坎》を得たり。
断に曰く:卦象は《兌》西《坎》北と為し、爻象は外戸内庭と為す。初は《兌》の下に居り、陽剛の一画、戸庭の鎖鑰(さやく)ありて、以て出入を節するが如し、故に「戸庭に出でず」と曰う。深居して禍を避く、故に「咎無し」と曰う。今足下家宅を占い、《節》の初爻を得たり、この宅想うに初次の遷居にして、一切の家事、正に整理を待つ、盈を守り泰を保ち、宜しく節倹の風を守り、門を杜じ事を謝すべし、以て咎無かるべし。
九二:門庭に出でず、凶。
九二:門庭に出でず、凶。
『象伝』に曰く、門庭に出でず、凶とは、時を失うの極みなり。
戸は内にあり、門は外にあり、初を戸と為し、二を門と為す、内より外に至るなり。初を内と為し、坎水始めて至る、これを塞ぎて以てその漏るるを防ぐ。二は則ち漸く外に至り、水既にして盛んなり、宜しくこれを通ずべし、にして猶お「門庭に出でず」と曰うは、これ塞がるを知りて通ずるを知らざるなり。二爻剛中の才あり、正に宜しく時に乗り変に応じ、出でて為すことありて、天下をして節の用を得せしむべし。卦は初より三に至り《震》を互し、四より六に至り《艮》を互す、乃ち《震》の行いをなさずして、固く《艮》の止まりを守り、門を杜じ跡を絶ち、坐して時機を失う、是を以て凶なり。故に『象伝』は時を失うの極みを以てこれを斥(しりぞ)けるなり。
【占い】
○運勢を占う:運途方(まさ)に盛んなり、時会も亦た好し、咎は因循(いんじゅん)自ら誤るにあるにあり、惜しむべきなり。
○軍事を占う:時進取すべし、乃ち首を畏れ尾を畏れ、固守して出でざれば、かえって凶に至るなり。
○商業を占う:貨物充積し、時価宜しきを得、本より利を得るべし、乃ち拘墟(こうきょ)時を失うによりて、かえって耗損に至る。《兌》は毀折と為す、これ象を失うなり。
○功名を占う:時会未だ逢わず、名を成し難し。
○婚姻を占う:桃夭(とうよう)時を失い、曠怨(こうえん)を免れ難し、凶。
○家宅を占う:門戸閉鎖し、人無き象なり、凶。
○疾病を占う:病は歩履(ほり)の艱難によりて、幾(ほとん)ど痿痺(いひ)と成る。
○失物を占う:これ内に盗むなり。
○訟事を占う:恐らくは囚禁の禍あらん。
○ 妊娠について問う。女児が生まれる。
【例】ある警吏某氏来たりて曰く、「吾が友旧藩士某、維新の際、勤王死節し、その後裔落魄して依る無し。余旧情を眷念し、極力賑助し、その子弟三人をおもむろに使いて京に来らしめ、就学すること十数年、これによりて耗費し、累積して六七千金に至る。然るに猶お郷里の田産を以て、値万金を得ば償うべし。詎(なん)ぞ意(おも)わん利息倍増し、迄今(いま)に既に万三千金なり。所有の家産は、又た価格低落によりて、減数大半なり。償わんと欲すれば則ち数出ずる所無く、償わざれば則ち債負清からず、進退維谷(これきわ)まり、以て計となす無し、遂に憂鬱して病に至り、職に供すること能わず。幸いにして教示を請う」と。無已(やむを得ず)代りて一占をなす、筮して《節》の《屯》を得たり。
断に曰く:九二は《兌》の中央に処し、『彖伝』に「悦んで以て険を行く」と謂うは、二こそ当たるべきなり。二に「門庭を出でず」と曰うは、険に陥るに安んじて険を行くあたわざるなり。その出でざるが故に凶なり。足下、負債の処分を占い、《節》の二爻を得たり。爻に「門庭を出でず、凶」と曰えば、則ち出でざるを凶となし、出づれば則ち凶を免るべしと知る。然るに云う所の「出づ」とは二あり。一には外に出てこれを避け、一には有する所を出してこれを償う、皆これを「出づ」と謂うなり。この中に必ず節制あるべし。仆、爻辞の意に就き、足下の負債のためにこれを計る。負う所の総数は万三千金、郷里の田産を低価にて約三千金に売却し、債主に償い抵て、更に月俸の所得二百金の内八十金を家用とし、余る百二十金もまた月毎に帰償せば、合計一歳の中に千四百四十金を償うを得ん。これ余りを節して不足を償う者なり。約十年ならずして便ち清償すべし。爻辞に「門庭を出でず、凶」と曰うは、明かに足下の戒めとなすごとし。足下それ因循畏葸して坐して時機を失うことなかれ。まさに出でて債主と相商い、まず産を售りし金を以てこれを償い、復た月俸の余りを以てこれに帰し、その利息を譲り、その期限を緩めしむべし。債主にして許さざれば則ちこの債必ず帰給し難く、債主にしてこれを許さば則ち足下破産に至らず、債主もまた終に金を得て収む。彼もまた何ぞ楽しみて許さざらんや。《兌》は口となし、友となし、朋を得て相商うの象あり。《兌》の爻に「商兌、未だ寧からず、疾を介とすれば喜あり」と曰うは、正に足下今日の時事なり。足下速やかに出でてこれを図り、この時会を失うことなかれ。
某氏、聞いて心に喜びて曰く:これ最も妙なる策なり、と。後数日にして報じ来たりて云う、すでにこの断詞に従い、出でて事を了せり、と。
『象伝』に曰く、門庭に出でず、凶とは、時を失うの極みなり。
戸は内にあり、門は外にあり、初を戸と為し、二を門と為す、内より外に至るなり。初を内と為し、坎水始めて至る、これを塞ぎて以てその漏るるを防ぐ。二は則ち漸く外に至り、水既にして盛んなり、宜しくこれを通ずべし、にして猶お「門庭に出でず」と曰うは、これ塞がるを知りて通ずるを知らざるなり。二爻剛中の才あり、正に宜しく時に乗り変に応じ、出でて為すことありて、天下をして節の用を得せしむべし。卦は初より三に至り《震》を互し、四より六に至り《艮》を互す、乃ち《震》の行いをなさずして、固く《艮》の止まりを守り、門を杜じ跡を絶ち、坐して時機を失う、是を以て凶なり。故に『象伝』は時を失うの極みを以てこれを斥(しりぞ)けるなり。
【占い】
○運勢を占う:運途方(まさ)に盛んなり、時会も亦た好し、咎は因循(いんじゅん)自ら誤るにあるにあり、惜しむべきなり。
○軍事を占う:時進取すべし、乃ち首を畏れ尾を畏れ、固守して出でざれば、かえって凶に至るなり。
○商業を占う:貨物充積し、時価宜しきを得、本より利を得るべし、乃ち拘墟(こうきょ)時を失うによりて、かえって耗損に至る。《兌》は毀折と為す、これ象を失うなり。
○功名を占う:時会未だ逢わず、名を成し難し。
○婚姻を占う:桃夭(とうよう)時を失い、曠怨(こうえん)を免れ難し、凶。
○家宅を占う:門戸閉鎖し、人無き象なり、凶。
○疾病を占う:病は歩履(ほり)の艱難によりて、幾(ほとん)ど痿痺(いひ)と成る。
○失物を占う:これ内に盗むなり。
○訟事を占う:恐らくは囚禁の禍あらん。
○ 妊娠について問う。女児が生まれる。
【例】ある警吏某氏来たりて曰く、「吾が友旧藩士某、維新の際、勤王死節し、その後裔落魄して依る無し。余旧情を眷念し、極力賑助し、その子弟三人をおもむろに使いて京に来らしめ、就学すること十数年、これによりて耗費し、累積して六七千金に至る。然るに猶お郷里の田産を以て、値万金を得ば償うべし。詎(なん)ぞ意(おも)わん利息倍増し、迄今(いま)に既に万三千金なり。所有の家産は、又た価格低落によりて、減数大半なり。償わんと欲すれば則ち数出ずる所無く、償わざれば則ち債負清からず、進退維谷(これきわ)まり、以て計となす無し、遂に憂鬱して病に至り、職に供すること能わず。幸いにして教示を請う」と。無已(やむを得ず)代りて一占をなす、筮して《節》の《屯》を得たり。
断に曰く:九二は《兌》の中央に処し、『彖伝』に「悦んで以て険を行く」と謂うは、二こそ当たるべきなり。二に「門庭を出でず」と曰うは、険に陥るに安んじて険を行くあたわざるなり。その出でざるが故に凶なり。足下、負債の処分を占い、《節》の二爻を得たり。爻に「門庭を出でず、凶」と曰えば、則ち出でざるを凶となし、出づれば則ち凶を免るべしと知る。然るに云う所の「出づ」とは二あり。一には外に出てこれを避け、一には有する所を出してこれを償う、皆これを「出づ」と謂うなり。この中に必ず節制あるべし。仆、爻辞の意に就き、足下の負債のためにこれを計る。負う所の総数は万三千金、郷里の田産を低価にて約三千金に売却し、債主に償い抵て、更に月俸の所得二百金の内八十金を家用とし、余る百二十金もまた月毎に帰償せば、合計一歳の中に千四百四十金を償うを得ん。これ余りを節して不足を償う者なり。約十年ならずして便ち清償すべし。爻辞に「門庭を出でず、凶」と曰うは、明かに足下の戒めとなすごとし。足下それ因循畏葸して坐して時機を失うことなかれ。まさに出でて債主と相商い、まず産を售りし金を以てこれを償い、復た月俸の余りを以てこれに帰し、その利息を譲り、その期限を緩めしむべし。債主にして許さざれば則ちこの債必ず帰給し難く、債主にしてこれを許さば則ち足下破産に至らず、債主もまた終に金を得て収む。彼もまた何ぞ楽しみて許さざらんや。《兌》は口となし、友となし、朋を得て相商うの象あり。《兌》の爻に「商兌、未だ寧からず、疾を介とすれば喜あり」と曰うは、正に足下今日の時事なり。足下速やかに出でてこれを図り、この時会を失うことなかれ。
某氏、聞いて心に喜びて曰く:これ最も妙なる策なり、と。後数日にして報じ来たりて云う、すでにこの断詞に従い、出でて事を了せり、と。
六三:節せざれば、則ち嗟(嘆)じ、咎なし。
六三:節せざれば、則ち嗟(嘆)じ、咎なし。
『象伝』に曰く:不節の嗟は、また誰をか咎めん。
三は《兌》の上に居り、上の画は口を開き、漏澤となし、節せざるの象なり。蓋し《兌》の澤、三に至り、坎水既にして盈ち、一時任意に挹取して節省を知らず、後に至りて継がざるに将にし、咨嗟悔恨を免れず、故に「節せざれば、則ち嗟じ」と曰う。これ悦び極まりて悲しみを生ずる者にして、禍は己より致り、怨咎する所なし、故に「咎なし」と曰う。『象伝』に「また誰をか咎めん」と曰うは、節すべきに節せず、「節せざる」は己にあり、「嗟じ」もまた己にあり、また誰をか咎めんとするか、と謂うなり。
【占い】
○ 時運を占う:壮なる時に自ら整えず、老いて徒らに悲しむ、それ誰をか怨みんや。
○ 征戦を占う:臨時に謀らざれば、後悔追うべからず。
○ 営商を占う:その利を得るに当たり、驕奢度なく、一旦耗失せば、便ち哀嗟を致す。咎は自ら取るのみ。
○ 婚姻を占う:まず喜びて後に悲しむの象あり。
○ 功名を占う:得るに従い失う。
○ 家宅を占う:三は陰を以て陽に居り、地位当たらず。必ず先ず富みて後に貧しきを致さん。
○ 疾病を占う:病は飲食を節せざるより致る、幸いに大なる咎なし。
○ 失物を占う:これを一嘆に付し、人を怨むを要せず。
○ 妊娠について問う。女児が生まれる。
【例】 明治ZXKEEP20XZ年十一月、旧大垣藩主戸田氏共伯、オーストリア全権公使に任ぜられ、眷属を偕にして赴任せんとし、横浜を発するに臨み、余が宅に枉駕せらる。この時送る者数十人を下らず、伯曰く:請う海上平安を占え、と。筮して《節》の《需》を得たり。
断に曰く:三爻は内外卦の交わりに居り、正に貴下出外遠行の兆に合す。《坎》は水となし、兌は澤となし、大海の象あり。三動きて体《需》となり、《需》の『彖』に「険前に在るなり」と曰えば、この行危険難あるを防ぐを知る。卦反すれば《渙》となり、《渙》の象は「風水の上を行く」となせば、必ず風あるを知る。《兌》は正西、《坎》は正北となせば、その風必ず西より北に向かうを知る。爻に「節せざれば、則ち嗟じ」と曰うは、節を秉りて行わざれば、必ず咨嗟を致すを謂うなり。今貴下皇華の出使にして、節鉞身にあり、必ず海若をして順に効いせしめ、百神呵護し、即ちリスクに遭遇するも、必ず咎なからん。《需》の『彖』辞にまた「大川を渉るに利あり、往きて功あるなり」と曰えば、これ貴下のために賀すべきなり。
時に送行する者、旧藩臣井田五蔵、青森県知事菱田文蔵、大審院判事鳥居断三、神道教正鴻雪爪ら咸皆座にあり、傾聴の余り、或いはこの判詞に照らせば、海上の風波、渾に目に見るが如く、未来の事、皆前知するを得、余が臆断にして未だ必ずしも信ずべからざるを疑う。鴻雪爪君独り云う:高島君の《易》筮、素より神に入るの称あり、多く人の解せざる所なり、と。余曰く:余はただ爻に憑りて断ずるのみ、応ずると応ぜざるとは、余の知る所にあらず、然るに向に断ずる所、未だ嘗て或いは爽いあることあらず、殆んど響の応ずるが如しと言うべし、と。諸士惟惟として、復た言あることなし。後四年、戸田伯朝に帰り、余に告ぐるに当時の海上の困難、一に《易》断の如きことを以てす。
『象伝』に曰く:不節の嗟は、また誰をか咎めん。
三は《兌》の上に居り、上の画は口を開き、漏澤となし、節せざるの象なり。蓋し《兌》の澤、三に至り、坎水既にして盈ち、一時任意に挹取して節省を知らず、後に至りて継がざるに将にし、咨嗟悔恨を免れず、故に「節せざれば、則ち嗟じ」と曰う。これ悦び極まりて悲しみを生ずる者にして、禍は己より致り、怨咎する所なし、故に「咎なし」と曰う。『象伝』に「また誰をか咎めん」と曰うは、節すべきに節せず、「節せざる」は己にあり、「嗟じ」もまた己にあり、また誰をか咎めんとするか、と謂うなり。
【占い】
○ 時運を占う:壮なる時に自ら整えず、老いて徒らに悲しむ、それ誰をか怨みんや。
○ 征戦を占う:臨時に謀らざれば、後悔追うべからず。
○ 営商を占う:その利を得るに当たり、驕奢度なく、一旦耗失せば、便ち哀嗟を致す。咎は自ら取るのみ。
○ 婚姻を占う:まず喜びて後に悲しむの象あり。
○ 功名を占う:得るに従い失う。
○ 家宅を占う:三は陰を以て陽に居り、地位当たらず。必ず先ず富みて後に貧しきを致さん。
○ 疾病を占う:病は飲食を節せざるより致る、幸いに大なる咎なし。
○ 失物を占う:これを一嘆に付し、人を怨むを要せず。
○ 妊娠について問う。女児が生まれる。
【例】 明治ZXKEEP20XZ年十一月、旧大垣藩主戸田氏共伯、オーストリア全権公使に任ぜられ、眷属を偕にして赴任せんとし、横浜を発するに臨み、余が宅に枉駕せらる。この時送る者数十人を下らず、伯曰く:請う海上平安を占え、と。筮して《節》の《需》を得たり。
断に曰く:三爻は内外卦の交わりに居り、正に貴下出外遠行の兆に合す。《坎》は水となし、兌は澤となし、大海の象あり。三動きて体《需》となり、《需》の『彖』に「険前に在るなり」と曰えば、この行危険難あるを防ぐを知る。卦反すれば《渙》となり、《渙》の象は「風水の上を行く」となせば、必ず風あるを知る。《兌》は正西、《坎》は正北となせば、その風必ず西より北に向かうを知る。爻に「節せざれば、則ち嗟じ」と曰うは、節を秉りて行わざれば、必ず咨嗟を致すを謂うなり。今貴下皇華の出使にして、節鉞身にあり、必ず海若をして順に効いせしめ、百神呵護し、即ちリスクに遭遇するも、必ず咎なからん。《需》の『彖』辞にまた「大川を渉るに利あり、往きて功あるなり」と曰えば、これ貴下のために賀すべきなり。
時に送行する者、旧藩臣井田五蔵、青森県知事菱田文蔵、大審院判事鳥居断三、神道教正鴻雪爪ら咸皆座にあり、傾聴の余り、或いはこの判詞に照らせば、海上の風波、渾に目に見るが如く、未来の事、皆前知するを得、余が臆断にして未だ必ずしも信ずべからざるを疑う。鴻雪爪君独り云う:高島君の《易》筮、素より神に入るの称あり、多く人の解せざる所なり、と。余曰く:余はただ爻に憑りて断ずるのみ、応ずると応ぜざるとは、余の知る所にあらず、然るに向に断ずる所、未だ嘗て或いは爽いあることあらず、殆んど響の応ずるが如しと言うべし、と。諸士惟惟として、復た言あることなし。後四年、戸田伯朝に帰り、余に告ぐるに当時の海上の困難、一に《易》断の如きことを以てす。
六四:安節、亨る。
六四:安節、亨る。
『象伝』に曰く:安節の亨るは、上を承くる道なり。
四は本《坤》体にして、《坤》は安となし、故に「安」と曰う。《坎》の始に居り、《坎》は険となし、《兌》を以てこれを節せば、ここに険を化して安を得、故に「安節」と曰う。「安節」とは、安んじてこれを行い、その節を失わざれば、則ち何れに往くとして通ぜざらんや?故に「安節、亨る」と曰う。四は位を得て五を承け、五は「中正にして以て通ず」、四はまずこれに通ず、ここを以て《彖》の亨るは、ただ四に帰す。四は五を承くるを以て亨るを得て、天下亨らざるなし。『象伝』に「上を承くる道なり」と曰うは、上は五を指し、道は即ち《節》の道なり、五は節風を以て天下に示すに、四は五に比近し、良くまずその道を承くるを謂うなり。
【占い】
○ 時運を占う:一路平安。
○ 征戦を占う:戦いを善くする者はまず軍心を安んずるにあり、軍心安んずれば、則ち危うきに臨みて恐れず、向う所功あり。
○ 営商を占う:四は外卦の始にあり、必ずや初めて貨を販して外に出ずる者ならん。事ごとに節倹するを得ば、ここに外地に安居し、謀る所もまた亨通を得ん。
○ 功名を占う:よく上の意を承くれば、必ず名を成すを得ん。
○ 婚姻を占う:四は陰を以て陰に居り、位を得て陽を承く、自から家室の安全を得ん。
○ 家宅を占う:平安にして吉を得ん。
○ 疾病を占う:病は口より入る、飲食を節するを得ば、自から安泰を得ん。
○ 妊娠:男児が生まれる。
【例】 官吏某来たり、官位昇進を占わんことを請う。筮して《節》の《兌》を得たり。
断に曰く:六四は重陰にして、爻象安静、事事節に中り、ここを以て亨るなり。『象伝』に「上を承くる道なり」と曰うは、上は五を謂い、四は五と比し、良く上の旨を承けて節を行うなり。今足下官途の昇進を占い、《節》の四爻を得たり。四は初と応じ、初は「通塞を知る」、故に四は良く分に安んじ己を守り、その節を失わず。ただ上の意旨を承けて行い、ここを以て発するに皆節に中り、往くとして亨通せざるはなし。昇進必ずなり。四と五の間一爻あり、昇進はまさに明年に在るべし。
『象伝』に曰く:安節の亨るは、上を承くる道なり。
四は本《坤》体にして、《坤》は安となし、故に「安」と曰う。《坎》の始に居り、《坎》は険となし、《兌》を以てこれを節せば、ここに険を化して安を得、故に「安節」と曰う。「安節」とは、安んじてこれを行い、その節を失わざれば、則ち何れに往くとして通ぜざらんや?故に「安節、亨る」と曰う。四は位を得て五を承け、五は「中正にして以て通ず」、四はまずこれに通ず、ここを以て《彖》の亨るは、ただ四に帰す。四は五を承くるを以て亨るを得て、天下亨らざるなし。『象伝』に「上を承くる道なり」と曰うは、上は五を指し、道は即ち《節》の道なり、五は節風を以て天下に示すに、四は五に比近し、良くまずその道を承くるを謂うなり。
【占い】
○ 時運を占う:一路平安。
○ 征戦を占う:戦いを善くする者はまず軍心を安んずるにあり、軍心安んずれば、則ち危うきに臨みて恐れず、向う所功あり。
○ 営商を占う:四は外卦の始にあり、必ずや初めて貨を販して外に出ずる者ならん。事ごとに節倹するを得ば、ここに外地に安居し、謀る所もまた亨通を得ん。
○ 功名を占う:よく上の意を承くれば、必ず名を成すを得ん。
○ 婚姻を占う:四は陰を以て陰に居り、位を得て陽を承く、自から家室の安全を得ん。
○ 家宅を占う:平安にして吉を得ん。
○ 疾病を占う:病は口より入る、飲食を節するを得ば、自から安泰を得ん。
○ 妊娠:男児が生まれる。
【例】 官吏某来たり、官位昇進を占わんことを請う。筮して《節》の《兌》を得たり。
断に曰く:六四は重陰にして、爻象安静、事事節に中り、ここを以て亨るなり。『象伝』に「上を承くる道なり」と曰うは、上は五を謂い、四は五と比し、良く上の旨を承けて節を行うなり。今足下官途の昇進を占い、《節》の四爻を得たり。四は初と応じ、初は「通塞を知る」、故に四は良く分に安んじ己を守り、その節を失わず。ただ上の意旨を承けて行い、ここを以て発するに皆節に中り、往くとして亨通せざるはなし。昇進必ずなり。四と五の間一爻あり、昇進はまさに明年に在るべし。
九五:甘節、吉、往きて尚(たっと)ばれることあり。
九五:甘節、吉、往きて尚(たっと)ばれることあり。
『象伝』に曰く:甘節の吉は、位中に居ればなり。
五は尊位に居り、《節》の主となす。《彖》の謂う所「位に当りて以て節し、中正にして以て通ず」とは、ただ五これに当たる。《彖》にまず「苦節は貞にすべからず」と戒め、苦を反して甘となせば、その道必ず貞にして、貞なれば則ち吉なり、故に「甘節、吉」と曰う。四は《坎》の中に居り、《坎》の『彖』に「行きて尚ばれることあり」と曰い、《節》の五の「往きて尚ばれることあり」は、蓋し即ち《坎》の『彖』より来たる。「往く」は即ち「行う」にして、能くこれを行いて往かば、洵に嘉尚すべしと言いたい。按ずるに五味は甘を以て中を得たりとなし、鹹苦酸辛は皆偏するなり。味の偏するを節してその中に適う、これを「甘節」と謂い、甘なれば則ち人皆喜びて従い、その難きを病まざるなり、これ「甘節」の吉たるゆえんなり。『象伝』は「位中に居ればなり」を以てこれを釈し、『礼記・月令』に「中央の土、その味は甘し」と曰い、甘は位中に居り、五は君となし、君位もまた中に居る、『象伝』の釈する所の意、これを取るなり。
【占い】
○ 時運を占う:運は蔗(とうきび)を嚼むが如く、老に至るほどいよいよ甘し。
○ 営商を占う:稼穑は甘をなす、まさに穀米を販運するを吉となすべし。「往きて尚ばれることあり」とは、往くは外に往くなり、特に米を販して外洋に往き銷售すべし、必ず利を得ん。
○ 功名を占う:苦尽き甘来たる、功名必ず顕われん。
○ 家宅を占う:五爻位を得、中央は甘となす、知るこの宅必ず地位中正、家風正直にして、節倹以て嘉尚するに足ることを。
○ 婚姻を占う:女の嫁ぐを往くと曰い、「往きて尚ばれることあり」とは、往きて礼を成すを謂う。「甘」とは甘心して相従う、百年好合の象あり、吉。
○ 疾病を占う:病は中宮にあり、甘なれば則ち中満す、まさに飲食を節するを要となすべし。
○ 妊娠:男児が生まれる。
【例】 某商人来たり、商業の損益を占わんことを請う。筮して《節》の《臨》を得たり。
断に曰く:味の甘き者は、人の好んで嗜む所なるも、過剰に甘ければ則ち味もまた変ず。節のその中に適うゆえんは、味において然り、万事においてまた然らざるはなし。「往きて尚ばれることあり」とは、これより往く、事皆尚ぶべく、事皆吉を得るを謂うなり。今足下商業の損益を占い、《節》の五爻を得たり。知る足下商業において、経営することすでに久しきも、向に撙節を知らざるを以て、嗟恨を来たすに至ることを。去歳安を得、今年また必ず甘味を得ん、まさに裁してこれを節すべし。事ごとに節に従い、盈満を以て自ら侈にするなかれ。ここに盈ちは長くその盈ちを保つべし、故に吉なり。「往く」とは、この《節》の道に遵いて往くなり、「往きて尚ばれることあり」は、また往きて功あるなり。足下これより後、商業大いに利あらん。
『象伝』に曰く:甘節の吉は、位中に居ればなり。
五は尊位に居り、《節》の主となす。《彖》の謂う所「位に当りて以て節し、中正にして以て通ず」とは、ただ五これに当たる。《彖》にまず「苦節は貞にすべからず」と戒め、苦を反して甘となせば、その道必ず貞にして、貞なれば則ち吉なり、故に「甘節、吉」と曰う。四は《坎》の中に居り、《坎》の『彖』に「行きて尚ばれることあり」と曰い、《節》の五の「往きて尚ばれることあり」は、蓋し即ち《坎》の『彖』より来たる。「往く」は即ち「行う」にして、能くこれを行いて往かば、洵に嘉尚すべしと言いたい。按ずるに五味は甘を以て中を得たりとなし、鹹苦酸辛は皆偏するなり。味の偏するを節してその中に適う、これを「甘節」と謂い、甘なれば則ち人皆喜びて従い、その難きを病まざるなり、これ「甘節」の吉たるゆえんなり。『象伝』は「位中に居ればなり」を以てこれを釈し、『礼記・月令』に「中央の土、その味は甘し」と曰い、甘は位中に居り、五は君となし、君位もまた中に居る、『象伝』の釈する所の意、これを取るなり。
【占い】
○ 時運を占う:運は蔗(とうきび)を嚼むが如く、老に至るほどいよいよ甘し。
○ 営商を占う:稼穑は甘をなす、まさに穀米を販運するを吉となすべし。「往きて尚ばれることあり」とは、往くは外に往くなり、特に米を販して外洋に往き銷售すべし、必ず利を得ん。
○ 功名を占う:苦尽き甘来たる、功名必ず顕われん。
○ 家宅を占う:五爻位を得、中央は甘となす、知るこの宅必ず地位中正、家風正直にして、節倹以て嘉尚するに足ることを。
○ 婚姻を占う:女の嫁ぐを往くと曰い、「往きて尚ばれることあり」とは、往きて礼を成すを謂う。「甘」とは甘心して相従う、百年好合の象あり、吉。
○ 疾病を占う:病は中宮にあり、甘なれば則ち中満す、まさに飲食を節するを要となすべし。
○ 妊娠:男児が生まれる。
【例】 某商人来たり、商業の損益を占わんことを請う。筮して《節》の《臨》を得たり。
断に曰く:味の甘き者は、人の好んで嗜む所なるも、過剰に甘ければ則ち味もまた変ず。節のその中に適うゆえんは、味において然り、万事においてまた然らざるはなし。「往きて尚ばれることあり」とは、これより往く、事皆尚ぶべく、事皆吉を得るを謂うなり。今足下商業の損益を占い、《節》の五爻を得たり。知る足下商業において、経営することすでに久しきも、向に撙節を知らざるを以て、嗟恨を来たすに至ることを。去歳安を得、今年また必ず甘味を得ん、まさに裁してこれを節すべし。事ごとに節に従い、盈満を以て自ら侈にするなかれ。ここに盈ちは長くその盈ちを保つべし、故に吉なり。「往く」とは、この《節》の道に遵いて往くなり、「往きて尚ばれることあり」は、また往きて功あるなり。足下これより後、商業大いに利あらん。
上六:苦節、貞吉[凶]、悔い亡ぶ。
上六:苦節、貞吉[凶]、悔い亡ぶ。
『象伝』に曰く:苦節の貞凶は、その道窮まればなり。
上は重陰不中にして、《節》の極みに居り、これ《節》に過ぐる者なり。『爾雅』に「鹵(ろ)は、鹹苦(かんく)なり」とあり、坎水は潤下して鹹をなす。《兌》は剛鹵となし、これ味の苦きものなり。上と初は相終始し、初は澤底にあり、節して漏れを防ぎ、上は澤口にあり、出納これによるに、竟に一概にこれを節するは、これ通塞を知らざるなり。その困苦の状、物の堪え難き所にして、終日することあたわざる者あり、故に《彖》の「苦節」は、独り上に帰す。「悔い亡ぶ」とは、奢は倹に如かずと言い、これを以て身を修めば、悔自から亡ぶ。『伝』に「道窮まればなり」と曰うは、即ち《彖》を釈する者を以てこれを釈するなり。「苦節、貞凶」とは、古よりの龍逢・比干、国のために身を亡ぼし、能く臣節を全うす。その禍は凶なりといえども、その道は則ち正しく、以て万世の表式となすに足り、復た何の悔いかあらんや。
【占い】
○ 時運を占う:運途もまた正しきも、固執して通ぜざるをとなし、終身窮苦を致すに至る。
○ 営商を占う:機会すでに極まり、変通を知らず、窮迫を致すに至り、徒らに自ら苦しむのみ。
○ 功名を占う:その人は則ち正を守りて阿ねず、困苦に自ら守り、名の成るを望み難し。
○ 征戦を占う:爻象重陰にして、柔弱無力、また地窮まり勢極まるに当たり、ただ苦守して出でざるを知るのみ、終には必ず凶ならん。
○ 疾病を占う:陰盛んに陽衰え、病勢すでに極まる、凶。
○ 妊娠:男児が生まれる。
【例】 商友某氏あり、株式の高下を占わんことを請う。筮して《節》の《中孚》を得たり。
断に曰く:この卦澤の上に水あるの象なり、澤に水あり、盈つれば則ちこれを通じ、盈たざれば則ちこれを塞ぐ。通塞とは、これ水の節制となすなり。上爻は澤の上の口に当たり、通ずべきにして塞ぐは、これ節に過ぐるなり。水流れて止まざるは、流水は甘きなり、上塞がりて流れざれば、則ち停潦となし、甘もまた苦し、故に「苦節、貞凶」と曰う。今足下株式の高低を占い、この爻象を得たり。株式とは、財用の資にして、財源は猶水源の如し、まさに流通すべく、壅塞すべからず。況んや上爻時位すでに極まるに当たり、もし塞ぎて窮まらず、好みて壟断をなし、以て高価を期し、人をして迫蹙困苦せしめ、以て生をなすなからしめば、苦極まりて変を生ずるを防ぎ、則ち人を苦しむる者は反して自ら苦しみ、凶を取るの道、また窮を取るの道なり。速やかに開通すべし、ここに凶を免るべし。
其の人これを聞き、即日売脱せり。後その価随即低落せり。
【例】 明治ZXKEEP31XZ年、北海道庁の治象を占い、筮して《節》の《中孚》を得たり。
断に曰く:上爻は兌澤の口に当たり、坎流既にして盈ち、又復節して通ぜざれば、人をしてその恵澤に沾うを得ざらしむ、これを「苦節」と謂い、その道必ず凶なり。今北海道庁の政治を占い、この爻象を得たり、知るその施政、地勢に合わず、民情に通ぜず、上下擁塞し、号令行われざるの象あることを。上爻動きて《中孚》となり、当に速やかに変通してこれを出ずべし、ここに孚として邦を化すべし。外象についてこれを論ずれば、兌澤水盈ち、盈つれば則ち必ず溢る、《兌》は秋なり、秋時に洪水の大災害あるを防ぐべし。
この年九月、果して水難あり、人民これを苦しむ、凶象かくの如し。
【例】 明治ZXKEEP31XZ年、外交の形勢を占い、筮して《節》の《中孚》を得たり。
断に曰く:上爻の「苦節」とは、これ節に過ぐる者なり。節してその中を得れば則ち甘く、これに過ぐれば則ち苦し。天下の事皆適中を貴ぶ、過ぐれば則ち困苦これに随い、凶禍もまたこれに随う、これ勢いの必然なる所なり。今外交を占い、この爻象を得たり、知る当今の時勢、正に澤水満溢し、岌岌可危の際に当たることを。まさに四海に流通し、その節制に変じ、以て権宜に適うべし、ここに困苦を免るべし。もし竟に吝にして出でず、固執して自守せば、その凶必ずなり。
『象伝』に曰く:苦節の貞凶は、その道窮まればなり。
上は重陰不中にして、《節》の極みに居り、これ《節》に過ぐる者なり。『爾雅』に「鹵(ろ)は、鹹苦(かんく)なり」とあり、坎水は潤下して鹹をなす。《兌》は剛鹵となし、これ味の苦きものなり。上と初は相終始し、初は澤底にあり、節して漏れを防ぎ、上は澤口にあり、出納これによるに、竟に一概にこれを節するは、これ通塞を知らざるなり。その困苦の状、物の堪え難き所にして、終日することあたわざる者あり、故に《彖》の「苦節」は、独り上に帰す。「悔い亡ぶ」とは、奢は倹に如かずと言い、これを以て身を修めば、悔自から亡ぶ。『伝』に「道窮まればなり」と曰うは、即ち《彖》を釈する者を以てこれを釈するなり。「苦節、貞凶」とは、古よりの龍逢・比干、国のために身を亡ぼし、能く臣節を全うす。その禍は凶なりといえども、その道は則ち正しく、以て万世の表式となすに足り、復た何の悔いかあらんや。
【占い】
○ 時運を占う:運途もまた正しきも、固執して通ぜざるをとなし、終身窮苦を致すに至る。
○ 営商を占う:機会すでに極まり、変通を知らず、窮迫を致すに至り、徒らに自ら苦しむのみ。
○ 功名を占う:その人は則ち正を守りて阿ねず、困苦に自ら守り、名の成るを望み難し。
○ 征戦を占う:爻象重陰にして、柔弱無力、また地窮まり勢極まるに当たり、ただ苦守して出でざるを知るのみ、終には必ず凶ならん。
○ 疾病を占う:陰盛んに陽衰え、病勢すでに極まる、凶。
○ 妊娠:男児が生まれる。
【例】 商友某氏あり、株式の高下を占わんことを請う。筮して《節》の《中孚》を得たり。
断に曰く:この卦澤の上に水あるの象なり、澤に水あり、盈つれば則ちこれを通じ、盈たざれば則ちこれを塞ぐ。通塞とは、これ水の節制となすなり。上爻は澤の上の口に当たり、通ずべきにして塞ぐは、これ節に過ぐるなり。水流れて止まざるは、流水は甘きなり、上塞がりて流れざれば、則ち停潦となし、甘もまた苦し、故に「苦節、貞凶」と曰う。今足下株式の高低を占い、この爻象を得たり。株式とは、財用の資にして、財源は猶水源の如し、まさに流通すべく、壅塞すべからず。況んや上爻時位すでに極まるに当たり、もし塞ぎて窮まらず、好みて壟断をなし、以て高価を期し、人をして迫蹙困苦せしめ、以て生をなすなからしめば、苦極まりて変を生ずるを防ぎ、則ち人を苦しむる者は反して自ら苦しみ、凶を取るの道、また窮を取るの道なり。速やかに開通すべし、ここに凶を免るべし。
其の人これを聞き、即日売脱せり。後その価随即低落せり。
【例】 明治ZXKEEP31XZ年、北海道庁の治象を占い、筮して《節》の《中孚》を得たり。
断に曰く:上爻は兌澤の口に当たり、坎流既にして盈ち、又復節して通ぜざれば、人をしてその恵澤に沾うを得ざらしむ、これを「苦節」と謂い、その道必ず凶なり。今北海道庁の政治を占い、この爻象を得たり、知るその施政、地勢に合わず、民情に通ぜず、上下擁塞し、号令行われざるの象あることを。上爻動きて《中孚》となり、当に速やかに変通してこれを出ずべし、ここに孚として邦を化すべし。外象についてこれを論ずれば、兌澤水盈ち、盈つれば則ち必ず溢る、《兌》は秋なり、秋時に洪水の大災害あるを防ぐべし。
この年九月、果して水難あり、人民これを苦しむ、凶象かくの如し。
【例】 明治ZXKEEP31XZ年、外交の形勢を占い、筮して《節》の《中孚》を得たり。
断に曰く:上爻の「苦節」とは、これ節に過ぐる者なり。節してその中を得れば則ち甘く、これに過ぐれば則ち苦し。天下の事皆適中を貴ぶ、過ぐれば則ち困苦これに随い、凶禍もまたこれに随う、これ勢いの必然なる所なり。今外交を占い、この爻象を得たり、知る当今の時勢、正に澤水満溢し、岌岌可危の際に当たることを。まさに四海に流通し、その節制に変じ、以て権宜に適うべし、ここに困苦を免るべし。もし竟に吝にして出でず、固執して自守せば、その凶必ずなり。