易経 · 六十四卦

周易・易経 第41卦 損卦(山沢損、上に艮・下に兌)

損――誠があれば、大いに吉で咎はない。正しさを守ることができる。進んで行くのがよい。何を用いるのか。二つの籠だけでも祭りに用いることができる。

『彖伝』にいう――損とは、下を減らして上を益し、その道が上へ進むことである。減らしても誠があれば大いに吉で、咎はなく、正しさを守ることができる。進むのがよい。何を用いるのか。二つの籠だけでも祭りに用いられる。二つの籠を用いるにも時があり、剛を減らして柔を益すにも時がある。損益、盈虚は時とともに進む。

象伝にいう――山の下に沢があるのが損である。君子はこれを見て、怒りを戒め、欲望を抑える。

易経 第 41 卦の本卦・互卦・錯卦・綜卦の図

易経 第 41 卦 原文と概説

周易第四十一卦の詳しい解説
損卦の原文
損。誠があれば大いに吉で咎はない。正しさを守ることができる。進んで行くのがよい。何を用いるのか。二つの籠だけでも祭りに用いることができる。
象伝にいう――山の下に沢があるのが損である。君子は怒りを戒め、欲望を抑える。
現代語による説明
損――この卦を占って得たなら、何かを得ることができ、大いに吉で災いはない。願いどおりの占いである。また、進む先では利益を得る。誰かが二盆の料理を届けてくれ、口福にも恵まれる。
『象伝』にいう――上卦は艮で山、下卦は兌で沢である。したがって、山の下に沢があるのが損の卦象である。君子はこの卦象を見て、沢の水が山の麓を浸食することを戒めとし、怒りを抑え、貪欲をふさぐ。
『断易天機』による解説
損卦は上が艮、下が兌で、艮宮三世卦である。損は増減や減少を象徴し、自分を減らす兆しなので、多くは不吉を示す。ただし、誠実さを守りさえすれば、有利に進む。
北宋の易学者・邵雍の解釈
下を減らして上を益し、満ちたものを減らして乏しいものを益す。初めは難しく、後に易しい。収入に応じて支出する。
この卦を得た人は、自分を減らして人を利する。初めは多少うまくいかなくても、尽くしたことはやがて報われ、災いが福に転じる象である。
台湾の国学大家・傅佩栄の解釈
運勢――心を平らかにし、気を穏やかにしてこそ発展がある。
財運――和気が財を生み、自分を減らして人を利する。
家庭――土地は平らなところがよい。夫婦は正しい立場を守る。
健康。心身を修め、性情を養いましょう。
伝統的な卦の解釈
この卦は異なる二つの卦を重ねたもので、下が兌、上が艮である。艮は山、兌は沢を表す。上に山、下に沢があり、大沢が山の根を浸食する。損益が交互に現れ、損の中に益があり、益の中に損がある。この二つは慎重に扱わなければならない。下を減らして上を益すことも、国を治める際に度を越せば国の基盤を損なう。減らすべきものは減らすが、必ず力に応じ、適度に行う。少し減らして大きく益するのが最善である。
大象――山は高く水は深く、それぞれが所を得る。損によって益を得る象である。
運勢――現在は何事も順調でなく、財を失う兆しがある。先に損失があっても、後にはかえって利益となり、災いが福に転じる。
仕事――事業を切り開くには、ある程度の投入が必要である。投入する量はあらかじめ綿密に計算し、損得の釣り合いを適切に保つよう努めるべきである。何事にも節度を持ち、欺瞞や貪欲をくれぐれも避けること。世の中のことでは、自分を律するのが最も難しい。自分に厳しく要求し、苦労をいとわず努力し、柔軟な手段を用いて、仕事の成功を目指すべきである。
商売――市場の動向を全面的に調査し、投入と収益の比率を計算する。利益の大小にこだわりすぎず、利益が得られればよい。他者とは誠実に協力し、互いに信頼する。方法は柔軟にし、自分を閉ざしてはならない。
名声を求める――成長と進歩のためには、必ず何かを投入し、実践に移すこと。減らすことで益を増し、理想を実現する。
結婚・恋愛――相手の長所と短所を全面的に見極め、大局に目を向ける。
判断――聡明で、利害を比較して判断することに長けている。自然な発展の法則に従い、積極的に他人と協力し、人を助けることを喜びとし、適度に力や資金を投入する一方、自分自身はぜいたくより倹約を選ぶべきである。このようにすれば、何事も非常に順調に進む。

第四十一卦の哲学的意味

損卦の卦象――山沢損が象徴する意味
損卦は異なる二つの卦を重ねたものである。上卦は艮、下卦は兌で、艮は山、兌は沢を表す。兌が下、艮が上なので、山の下に沢がある。沢の水は下から上へ浸透し、山上の万物を潤して育てるが、そのため沢の水は減少する。そこで、兌下艮上のこの卦は、減少の意味を含む「損」と名づけられた。
別の角度から見ると、艮上兌下、すなわち山が上で沢が下というのは、大沢が山の根を浸食することを意味する。下を減らして上を益すことも、国を治める際に過度になれば国の基盤を損なう。減らすべきものは減らすが、必ず力に応じ、適度に行う。少なく減らして大きく益するのが最善である。損卦は損益が交互に現れ、損の中に益があり、益の中に損があることを象徴する。両者の関係は慎重に扱わなければならない。
損卦は解卦の後に位置する。『序卦伝』では次のように説明している。「緩めば必ず失うところがある。ゆえにこれを受けるに損をもってする」。解卦によって困難が緩和された後、気が緩むことで必ず損失が生じるため、その次に損卦が現れるのである。
『象伝』はこの卦をこう説明する。山の下に沢があるのが損であり、君子は怒りを戒め、欲望を抑える。損の卦象は兌、すなわち沢が下で、艮、すなわち山が上にあり、山の下に湖沢がある姿である。湖沢は山上の万物を潤すことで自ら減少する。これが損の意味である。この現象に含まれる道理に従えば、君子は狂暴な怒りの気性を抑え、私欲を断ち、皆のためになることを多く行うべきである。
損卦は減少を象徴し、下下卦である。『象』はこの卦を次のように判断する。時が来て動こうとしても進めず、心労ばかりが多い。車を押して苦しむようで、山道は険しく、車が下に傾き、右に差し込んで押してもどうにもならない。

易経 第 41 卦 爻ごとの詳解

周易第四十一卦初九爻の詳しい解説
初九の爻辞
初九――事が済んだら急いで赴けば咎はない。減らす程度をよく考える。
象伝にいう――事が済んだら急いで赴くのは、なお志にかなうからである。
現代語による説明
初九――大切な祭祀には急いで参加しなければならない。そうすれば災いはない。供物が多すぎるなら、ほどよく減らす。
『象伝』にいう。「大切な祭祀には急いで参加しなければならない」とは、鬼神を敬う心を表す。
北宋の易学者・邵雍の解釈
平――この爻を得た人は、物事を適切に進めれば利益を得られる。不善な者は酒食のために事を誤るかもしれない。官職にある人は仕事が忙しく家庭を顧みられないが、評判はますます高まる。
台湾の国学大家・傅佩栄の解釈
運勢――努力を加えれば、なお望みがある。
財運――判断が正確なら、自然に利益が得られる。
家庭――早めに転居する。その日に結婚を迎える。
身体――すぐに行動する。

初九の変卦
"周易第41卦的其中之一变卦卦的卦图

初九爻が変じて、周易の第4卦「山水蒙」となる。この卦は異なる二つの卦、下に坎、上に艮を重ねた形である。艮は山の形で、止まることを表し、坎は水の形で、険難を表す。卦の形は山の下に険難があるのに、なお前進して止まらない姿で、蒙昧を意味するため「蒙」と呼ばれる。しかし、時機をつかみ、時にかなった行動を取るので、啓蒙と通達の卦象も備えている。

初九爻の哲学的意味

損の第一爻、爻辞。初九――事が済んだら急いで赴けば咎はない。減らす程度をよく考える。
已――止めること。遄――急ぐ、速い。酌――適切に判断する。
この爻辞の意味は、していることを中断して急いで人を助けに行けば災いはない。ただし、自分の利益の一部を適度に減らせばよいということである。
卦象から見ると、初九は損卦の初めに位置する。下を減らして上を益すことを行うには、適切でなければならず、過度にも過量にもなってはならない。
『象伝』はこの爻をこう説明する。「事が済んだら急いで赴く」とは、なお志にかなうことである。ここでは、尊位にある柔弱な者が助けを必要としており、卑しい位置にある剛健な者が率先して義務を果たすべきだと示す。自分の仕事をただちに犠牲にして他人を成就させ、尊貴な者と心を通わせる関係を示すのである。
この爻を得た人は、周囲の人が困難に遭ったら、すぐに手を差し伸べるべきである。多少の損失はあるが、人脈を築き、他人に良い印象を残せる。ただし、全財産を投げ出して助けるのではなく、適度な援助だけをすればよい。
初九――事が済んだら急いで赴けば咎はない。減らす程度をよく考える。
象伝にいう――事が済んだら通って行くのは、なお志にかなうからである。
経文の意味は、事を終えたら急いで赴けば災いはなく、ただ酒を少し飲み損ねる程度の損失だということ。象辞の意味は、事を終えて急いで赴くのは、早く行くことが志にかなうということである。
初九は六四と応じている。六四が宴を設けて初九を招いたところ、初九は身近な仕事があったため、手元の仕事を終えてから宴に赴いた。しかし少し遅れたので、皆はすでに食べたり飲んだりして、残り物しかなかった。この損失は酒を少し飲み損ねた程度なので、災いにはならない。初九が宴に赴いた目的は飲食ではなく、六四と交際することだったからである。
周易第四十一卦九二爻の詳しい解説
九二の爻辞
九二――正しさを守るのがよい。征伐すれば凶。減らさず、益する。
象伝にいう――九二が正しさを守るのによいのは、中を守ることを志としているからである。
現代語による説明
九二――吉兆の占いである。他国を討伐すれば凶。なぜなら、それは他国を損なうどころか、かえって利益を与えるからである。
象伝にいう――九二の爻辞が吉兆の占いを説くのは、九二が下卦の中央にあり、人が正しさを守ることを心として行う姿に似ているからである。
北宋の易学者・邵雍の解釈
凶――この爻を得た人は、慎重に守り、動かないのがよい。官職にある人は時機がまだ熟さず、昇進は難しい。
台湾の国学大家・傅佩栄の解釈
運勢――中庸を守って世を渡れば、自然に幸運が訪れる。
財運――商品が適切なら、利益を得られるだろう。
家庭――守れば吉。家柄や条件の釣り合った縁である。
身体――通常の状態。

九二の変卦
"周易第41卦的其中之一变卦卦的卦图

九二爻が変じて、周易の第27卦「山雷頤」となる。この卦は下に震、上に艮を重ねた異卦である。震は雷、艮は山を表す。山が上、雷が下にあり、外は充実して内は空虚である。春の暖かさが万物を養うように、時に応じて賢者を養い民を育てる。陽は実、陰は虚で、実なる者が人を養い、虚なる者は人に養われる。自らの力で生計を立てる。

九二爻の哲学的意味

損の第二爻、爻辞。九一――正しさを守るのがよい。征伐すれば凶。自分を損なわず、これを益する。爻辞の解釈
「弗損」とは、自分を損なってはならないという意味である。
この爻辞の意味は、正しい道を守るのがよく、先んじて攻撃すれば危険があるということ。自分が何の損失も受けずに、尊い者に利益を与えることができる。
卦象から見ると、九二は下卦兌の中央にあり、陽爻が陰位にいるため位を得ていない。九二は陽爻なので、動きたがり、性急に進む性質がある。出征すれば危険に遭う可能性があるため、中を守り、出征してはならない。
『象伝』はこの爻をこう解釈する。九二が正しさを守るのによいのは、中を志としているからである。九二は高すぎず低すぎない中庸の位置にあるが、自身の立場は安定しておらず、積極的に動くのには適さない。偏らず激しすぎず、また保守的すぎもしない中庸の態度を変わらぬ志とすることで、初めて他人に利益を与えられる。
この爻を得た人は、自分の能力に限界があるので、人を助ける際には自分の力を見極めるべきである。焦って冒険してはならない。そうすれば人を助けられないばかりか、かえって迷惑をかけるかもしれない。また、人を助けたいと思うなら、その人が同情や援助に値するかどうかも見極めること。本当に助けたいなら、何の損失もなく助ける目的を実現できる。
九二――正しさを守るのがよい。征伐すれば凶。減らさず、益する。
九二は下卦の中央にあるが、陽爻が偶位にいるため位を得ていない。また、下の互卦である震の最下爻でもあり、現状に安んじない姿を示す。九二が不満を抱くのは、自分の上にある六三である。この位置はもともと上九の位置だった(泰から損へ変じたため)。そこで六三を押しのけようとするが、その考えと行動は危険なので、爻辞は「征伐すれば凶」と言う。九二は、直属の上司が有能な人物だったのに転任し、上層部から平凡な人物が新しい上司として派遣された部門長のようなものだ。部門長は不服を感じ、新しい上司を追い出そうとする。しかしその行為は総経理の反対に遭い、成功しない。したがって、この部門長が自分に悪い結果を招きたくなければ、中庸を守り、本来の職務を果たし、上層組織の意志に反することをしてはならない。
周易第四十一卦九三爻の詳しい詳しい解説
六三の爻辞
六三――三人で行けば一人を減らす。一人で行けば友を得る。
象伝にいう――一人で行けば、三人では疑いが生じる。
現代語による説明
六三――三人で行動すれば意見が分かれ、必ず一人が孤立する。一人で行動すれば孤独で助けがないため、自ら人を誘って伴とする。
『象伝』にいう――一人で行けば、何事も自分で決め、妨げるものはない。三人で行けば、事が起こるたびに各自が意見を主張し、疑いが生じる。
北宋の易学者・邵雍の解釈
平――この爻を得た人は、力を合わせて事業を営めば利益を得る者が多い。未婚者には良縁がある。官職にある人は同僚と仲がよく、向上の望みがある。
台湾の国学大家・傅佩栄の解釈
運勢――偶数月が有利。多くを欲張ってはならない。
財運――一人で出資すれば、損失はない。
家庭――一家に働き手が二人。伴侶を得れば吉。
身体――欲を少なくして身を修める。

六三の変卦
"周易第41卦的其中之一变卦卦的卦图

六三爻が変じて、周易の第26卦「山天大畜」となる。この卦は下に乾、上に艮を重ねた異卦である。乾は天で剛健、艮は山で篤実を表す。畜は蓄積を意味し、大畜は大いに蓄えることである。そのため、重大な困難や険阻を恐れず、熱心に身を修めて徳と業績を豊かにする。

九三爻の哲学的な意味

損の第三爻、爻辞。六三――三人で行けば一人を減らす。一人で行けば友を得る。爻辞の解釈
この爻辞の意味は、三人で一緒に進めば、そのうち一人が傷つく。一人で行動すれば、志を同じくする友に出会えるということである。
『象伝』はこの爻をこう分析する。「一人で行けば、三人では疑いが生じる」。下を減らして上を益すことは、状況を考えず一斉に押し進めてはならず、時勢を見極め、実効を重んじるべきだと示している。
この爻を得た人は、物事を行う際にあまり多くの協力者を求めてはならない。そうしないと、争いや意見の違いで仲たがいするかもしれない。一人で事を進めながら、志を同じくする友を探せば、友の助けを得られる。
この爻を得た人は、物事に専念しなければならない。考えを広げすぎたり、同時に多くのことをしたりしてはならない。多すぎればうまく処理できず、損失を受ける。集中して取り組み、自分の判断を持ち、むやみに人に従って同じことをしてはならない。
象辞の意味は、一人で行けば友を得るのは、三人が一緒にいると疑いが生じるからだということである。
「三人で行く」とは、泰卦の下にある三本の陽爻を指す。「一人を減らす」とは、泰卦が損卦に変じた後、泰卦の九三爻が本来の位置を離れて損卦の上爻へ移ることを指す。「一人で行く」も、泰卦の九二爻が損卦の上爻の位置へ移ることを指す。「友を得る」とは、損卦の上九爻が六五と結び、六三と応じることをいう。
道理の上では、この爻は人間性の弱点を反映している。たとえば西洋諸国では、中国人一人なら日本人一人に勝てるが、中国人十人では日本人十人に勝てない、と考えることがある。なぜか。それは「二人で行けば一人を減らす」という状況が存在するからである。中国人が十人集まると、しばしば「内輪もめ」が起こり、自然に相手の十人に対抗できなくなる。ここで示されているのは、人間性の弱点も集団の力を損なうということである。
周易第四十一卦九四爻の詳しい詳しい解説
六四の爻辞
六四――その病を減らし、速やかに治させれば喜びがある。咎はない。
象伝にいう――その病を減らすことも、喜ぶべきことである。
現代語による説明
六四――病を除くには、急いで巫を求め、神を祭る。病は快方に向かい、必ず災いはない。
『象伝』にいう。「巫を求め、神を祭って病を除く」ことも、喜ぶべきことである。
北宋の易学者・邵雍の解釈
平――この爻を得た人には喜ばしいことが多い。災いに遭っている人は運が好転し、病人は回復し、心配事のある人は喜びに変わる。官職にある人で閑職に置かれている者は復職する。
台湾の国学大家・傅佩栄の解釈
運勢――小さな災いの後、憂いが喜びに変わる。
財運――商品を減らし、信頼すれば利益がある。
家庭――陰の気が過剰なので、祈れば安らぐ。婚姻には喜びがある。
身体――すぐに医師の診察を受けなければ、危うい。

六四の変卦
"周易第41卦的其中之一变卦卦的卦图

六四爻が変じて、周易の第38卦「火沢睽」となる。この卦は下に兌、上に離を重ねた異卦である。離は火、兌は沢を表す。上に火、下に沢があり、互いに背き、助け合わない。克し合うことで生じ、往復して空虚になることはない。万物にはそれぞれ違いがあり、違いがあれば異なり、互いに矛盾する。睽とは対立・矛盾を意味する。

九四爻の哲学的意味

損の第四爻、爻辞。六四――その病を減らし、速やかに治させれば喜びがある。咎はない。
遄――速やかに、すぐに。
この爻辞の意味は、自分の弱点をできるだけ克服し、すぐに訪れる喜びを迎えれば、災いはないということである。
卦象から見ると、六四は互卦の震(九二・六三・六四)の中にある。震は決断と躁動を表し、そこから優柔不断という病を引き出せる。爻辞は、この病をただちに改めてこそ喜びがあると強調している。
『象伝』はこの爻をこう説明する。「その病を減らす」とは、それも喜ぶべきことである。自分の弱点をできるだけ克服し、他人からの助けを受けられるようにすることを示す。このように自分の弱点を克服する行為こそ、大いに喜ぶべきことである。
この爻を得た人は、自分の弱点を克服すべきである。行っていることに問題が生じたら、その弊害を減らし、速やかに転機を作れば利益を得られる。助けを必要とする友人に手を貸すときは、同時にその人の弱点も指摘するとよい。きっと感謝される。
六四――その病を減らし、速やかに治させれば喜びがある。咎はない。
象伝にいう――その病を減らすことも、喜ぶべきことである。
経文の意味は、病の苦痛を軽くし、病状を速やかに好転させれば災いはないということ。象辞の意味は、病の苦痛を軽くすることも喜ぶべきことだということである。
ここでいう「その病を減らす」とは、どのような病を指すのか。それは「内輪もめ」という病である。泰卦では上卦が三本の陰爻であり、陰爻が集まることは、先ほど述べた十人の中国人のようなものである。この状態では内輪もめによって集団の力が損なわれやすい。どうすればよいか。一つの陰爻を下卦へ減らし、下卦から一つの陽爻を減らして上卦へ移す。こうして損卦が形成される。この変化によって内輪もめが起こらなくなるため、集団の力は強まる。これが、損失は強盛の始まりであるという意味である。
周易第四十一卦九五爻の詳しい詳しい解説
六五の爻辞
六五――誰かが十朋の宝亀を益として贈る。辞退してはならない。大いに吉。
象伝にいう――六五が大いに吉なのは、上から助けられているからである。
現代語による説明
六五――誰かが十朋の価値のある大きな亀を贈る。これは辞退してはならない。この亀を占いに用いるのは大いに吉である。
『象伝』にいう。六五の爻辞が大吉を説くのは、天が彼を守り、霊亀を授けたからであり、ゆえに大いに吉である。
北宋の易学者・邵雍の解釈
吉――この爻を得た人は運勢が非常によく、財も豊かである。官職にある人は上司から評価され、昇進する。学ぶ人は優れた成果を上げる。
台湾の国学大家・傅佩栄の解釈
運勢――運が非常によく、思いがけない助けがある。
財運――利益が自然に入ってくる。辞退する必要はない。
家庭――家業が繁栄する。天が定めた良縁である。
身体――病気が治り、財を得る。

六五の変卦
"周易第41卦的其中之一变卦卦的卦图

六五爻が変じて、周易の第61卦「風沢中孚」となる。この卦は下に兌、上に巽を重ねた異卦である。「孚」の本来の意味は孵化であり、卵が殻を破る時期は非常に正確なので、信の意味を持つ。卦の形は外が実、内が虚で、心の中の誠実さを表すため「中孚」と呼ばれる。これは身を立て、世に処する根本である。

九五爻の哲学的意味

損の第五爻、爻辞。六五――誰かが十朋の宝亀を益として贈る。辞退してはならない。大いに吉。爻辞の解釈
「十朋の宝亀」――「朋」は古代の貨幣単位で、二枚の貝を一朋とした。「亀」は神亀を指す。
この句は、敵対する側が十朋の価値のある大きな神亀を贈ることができるという意味である。
「辞退してはならない」――断ってはならない。
この爻辞の意味は、誰かが十朋の価値のある神亀を贈ってくるので辞退してはならず、大いに吉だということである。
卦象から見ると、六五は陰爻が剛位にあり、剛柔を兼ね備えている。九二と陰陽正応するだけでなく、上九から承けることもできる。
『象伝』はこの爻をこう分析する。六五が大いに吉なのは、上から助けられているからである。六五は陰柔で尊位にいるが、それでも自分を減らして他人に利益を与えようと考える。そのため大衆から広く助けられるだけでなく、天の好意も得る。
この爻を得れば非常に吉で、石を割って玉を見つけるように、まとまった金銭を得るだろう。以前助けた人が、あなたに報い始めるのかもしれない。あなたの手元に届く財は受け取るべきものなので、拒んではならない。迷っているとき、誰かが高価な亀を買って放すよう勧めるなら、実行してよい。大いに吉となる。
六五――誰かが十朋の宝亀を益として贈る。辞退してはならない。大いに吉。象伝にいう――六五が大いに吉なのは、上から助けられているからである。
経文の意味は、誰かが十朋の宝亀を贈るので拒んではならず、大いに吉祥であるということ。
象辞の意味は、六五の大いなる吉祥が上九の加護から来るということである。
五は十朋の価値のある宝亀を得たが、実はこの宝亀は権力の象徴である。六五は尊位にいるが、誰がこの地位を与えたのか。それは上九である。上九は泰卦の九三爻から損卦の上九爻へ移り、六五が政権を固めるのを助ける。したがって六五は拒む必要がない。自分の権力を正しく行使すれば、大いに吉となる。
周易第四十一卦上九爻の詳しい詳しい解説
上九の爻辞
上九――減らさず、これを益する。咎はない。正しさを守れば吉。進んで行くのがよい。家を持たない臣を得る。
象伝にいう――減らさず益するのは、大いに志を得ることである。
現代語による説明
上九――減らしも増やしもせず、旧来のままに任せれば災いはない。占えば吉兆である。この爻を得て進めば必ず利益があり、独身の奴隷を得る。
『象伝』にいう。減らしも増やしもせず、公平に中を守って行えば、生涯の願いを成し遂げられる。
北宋の易学者・邵雍の解釈
吉――この爻を得た人は貴人に支えられ、財利が期待できる。官職にある人は部下に慕われ、上司から重んじられる。
台湾の国学大家・傅佩栄の解釈
運勢――何事も順風満帆で、計画したことは成し遂げられる。
財運――物価は平穏だが、利益は少なくない。
家庭――改築する必要はない。
身体――外へ出て治療を求める。

上九の変卦
"周易第41卦的其中之一变卦卦的卦图

上九爻が変じて、周易の第19卦「地沢臨」となる。この卦は下に兌、上に坤を重ねた異卦である。坤は地、兌は沢を表す。地は沢より高く、沢は地に受け入れられている。君主が自ら天下に臨み、国を治めて安定させ、上下が融和することを象徴する。

上九爻の哲学的意味

損の第六爻、爻辞。上九――減らさず、これを益する。咎はない。正しさを守れば吉。進んで行くところがあり、家を持たない臣を得る。爻辞の解釈
この爻辞の意味は、自分が何も損なうことなく他者に利益を与えるので、過失がないということである。正しい道を守れば吉である。この時は勇気をもって事に当たれば、天下に恩恵を及ぼし、民衆が心から帰服する。
上九は損の卦の頂上に位置する。「象伝」ではこの爻を次のように説く。「損なうことなく、かえって益する」とは、大いに志を遂げることである。これは、自分が何も損なわずに他者を益することができるのは、損卦の最高位にいて、自身が多くの助けと利益を得ているからだと示している。自己を減じることなく人を益するという、損卦の理想を実現した最高の境地である。
損卦は自分を減じることを説く卦である。しかし、この「損」は、自分の利益の一部を損なって他人を助けることでも、一般にいう他人を損なって自分が利益を得ることでもない。自分の側に少しの損害も与えずに相応の利益を得ること、あるいは自己を損なわずに人を益すること、そしてやむを得ない場合には、より大きく多くの利益を求めるために、利益の一部を適切に減じたり手放したりすることを意味する。これが損卦の最も本質的な意味である。
上九は、損なうことなく、かえって益する。咎はない。正しさを守れば吉。進んで事を行うのがよい。家を忘れて仕える臣を得る。象伝にいう。損なうことなく益するとは、大いに志を遂げることである。
経文の意味は、減じることなく利益を得るので災いはなく、正道を守れば吉、前進すれば利益があり、私心なく家を忘れて仕える臣を得る、ということである。
象辞の意味は、減じることなく、かえって得るものがあるというのは、志を大いに伸ばすことができるということである。
泰の九三が上九の位置に移って損卦を形成する。これは損卦の上卦を弱めるのではなく、その力を強めるので、爻辞は「損なうことなく、かえって益する」と説く。
上九は上卦を助ける位置にあるのだから、どうして災いがあろうか。したがって正道を守りさえすれば、自然に吉となる。「家を忘れて仕える臣を得る」とは、上九がもとは泰の九三であったことをいう。下卦は内を表し、家を表すので、泰の九三は下卦における一家の長であった。しかし損卦の上爻となると、下の三つの陰爻を有する、つまり臣を得る一方で、もはや下卦の一家の長ではない。だから「臣を得るが家はない」というのである。